溺愛される鬼少女② (ページ10)

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柱たちの心③ ページ10

「何してるんですか、実弥さん」

「うるせェ！！テメェには関係ねぇよォ！」

「A、退きなさい！」

今の実弥さんは別人みたい
いつも優しく私の頭を撫でてくれるあの人じゃない。

「この手を離してください」

「ッチ」

しのぶさんの前から退けるわけがない。
実弥さんがしのぶさんの胸ぐらから手を離した。

「実弥さん、どうしてこんな事するんですか」

これも彩さんのせいなの？

「…るせェ！俺は…っ」

苦しそうな顔をするのはどうして？

「不死川さん、あなたの傷は療養が必要なんです…なのに任務なんて…」

「関係ねェよ」

実弥さんの体に巻かれた包帯は血が滲んでいて痛々しい。

「隠の方から聞きました。相当無理をしていらっしゃると」

心配そうに言うしのぶさん。
…私が何とかするって蜜璃さんと約束したから。

「しのぶさん、私を実弥さんとふたりにしてもらえませんか？」

「A…」

「テメェ何言って…」

「お願いします」

しのぶさんの目を見ると不安そうにしながらも了承してくれた。

「実弥さん、まずは座ってください」

「俺がお前の言う事を聞くと思ってんのかァ」

「思いますよ。実弥さんは私を大切にしてくれる人だから」

実弥さんの腕を引っ張って椅子に座らせても抵抗はしなかった。ほらね？

「それは前の話だろォ」

「頭と心は別ですよ」

実弥さんは2度も私を救ってくれた。
これが証拠。

「何が分かんだよ」

「あなたは優しい人だから」

人を守るために自分を傷つける人だから。
弟のために過酷な道を選べる人だから。

「…っ」

「実弥さん、私に教えてください」

何があったのか。
今度は私が救う番だと思うから。

「…俺はお前を信用してねェ。疑ってる」

「いいですよ」

それが彩さんの狙いだと私は知ってる。

「お前を疑えば疑うほど、お前が鬼だから…」

「実弥さん、我慢しないで…私は傷つきませんよ。鬼だから」

実弥さんの心が楽になるなら
私は傷つくくらいが丁度いい。