溺愛される鬼少女② (ページ39)

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鉄穴森さんにみんなには内緒で短刀を三本作ってもらった。

あと、太腿に短刀をしまえるもの(レッグポーチてきなやつ)を作ってくれた。

「すぅう」

今夜もまた鍛錬。

「…なんで出来ないんだ太郎」

と空中に話しかける。

…あの日謎に呼吸が使えた。
鬼の呼吸。

「ピンチじゃないと出来ないのかなぁ」

ならばピンチになるべし。
だけどないんだよね！

独り言を呟きながら刀を振る私はかなり危ない奴だろう。

「…何をやっている」

「ひぃ！」

…見られた。だれかに。
こ、これはかなりやばいぞ。

私の隠れた努力が台無しに…！

「A」

「…って、お、小芭内さん」

木の上から降りてきた小芭内さん。
うん？いや、だめでしょう。

どうして人の屋敷にいるんですか？

「ここで何してるんですか…」

「俺が聞きたい。お前は刀を振って何する気だ」

私の短刀を指差す小芭内さん。

「こ、これはその…」

言い訳が思いつかない。

「早く言え」

「…っいや、」

どうしよう。小芭内さん何考えてるか分かんない。
なんて言えば正解なんだ…

「まさか彩の言う通り鬼殺隊を壊そうとしているのか。お前ごときに俺たちが負けるとでも？」

「…小芭内さん」

なんて悪口だ。
すごく傷つくわ…正面から言われたら。

「そもそも鬼など信用するべきではなかった」

そしてネチネチうるさいなあもう。

「最近皆の様子がおかしいがまた騙したのか？いつまで同じことを繰り返すつもりだ」

いや、騙されてるのかそっちだよ！
って言いたかったけど黙るね。

「…小芭内さん。用はそれだけですか？」

さすがに私もいつまでもニコニコしていられるほど優しくはない。

いくら信用してると言ってもね。

「なんだ、その目は」

「軽蔑の目です」

嘘です。すみません。
話しても無駄そうだな、と思った私は近くにあった木刀を小芭内さんに投げた。

「…何のつもりだ」

「手合わせお願いします」

そう言って短刀の形に合わせた木刀をふたつ持つ。

「行きますよ」

勢いよく小芭内さんに斬りかかった。