溺愛される鬼少女② (ページ37)

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願いはひとつ④ ページ37

「あ、A！」

蝶屋敷に帰ってくると伊之助が走って来た。
…猪頭してないし。

「どうしたの？」

「俺様が帰って来たんだからアレ言えよ！」

アレってなんだ…
ムンムン言ってるけど言葉にしてほしい。

「帰ったら言うやつだよ！」

「…？…あ、おかえり？」

「そうだ！！」

なんで偉そうなのよ。
そう思いつつそんな伊之助が可愛いな、なんて。

「…ふふ。おかえり」

「おう！ただいま！」

まあ、帰って来たの私だけどな。
立場的には逆な気がする。

「伊之助、どうしたの？その腕」

「あ！？文句あんのか！？」

「いや、文句じゃないわ」

腕に包帯巻いてる。
…て、腕に文句つけるってなに？

「怪我したの？」

「ち、ちげーよ！」

なぜ隠そうとする…
バレてるけど。

「服、着たらいいのに」

「着たくねえよ！馬鹿か！」

ものすごく酷い言われ方…
服着てないほうが馬鹿だと思います。

「伊之助に怪我してほしくない」

「…ホワホワさせんじゃねえ！！」

もう。何を怒ってるのこの子。
なんで私怒られてるの。

「うーん。服着たほうがいいけどなあ」

…それにしても良い筋肉してるなあ。(変態

触ってみたいな。
いや？変態じゃないよ？

決して変態ではないです。

乙女の夢が詰まってるよね！！

「触って良い？」

「何をだ…って何してんだお前」

ごめん。理性が働かない。
…ついに触ってしまった。

「ごめん。つい」

「？おう」

何この子。何も思わないの？
そうなの？

「伊之助～～そういうのはねぇ…うそ」

拒否しとくんだよ！って言いたかったけどやめておこうと思う。

触りたいもん。

「…お前なんか変ぞ！？」

熱あるのか！？と私の額に自分の額をつけてくる伊之助。

…どこかで見た光景だわ。

「ないない。これが通常」

「…変なやつだな」

変で悪かったですね！
…いつまで引っ付いてるつもりなんだろう。

「そういえば、猪頭どうしたの？」

「アオコに取られた！」

洗ってもらってるんだね。納得。

「ありがとうって言うんだよ！」

と言いながら無理やり離れて伊之助と別れた。

毎日ちゃんと帰ってきてくれるのが
すごく嬉しい事だよね。