溺愛される鬼少女② (ページ20)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:125,599 hit

新しい覚悟① ページ20

「ただいま～～」

彩さんと別れた後、うどんを2杯も食べてお腹が苦しい。食べ過ぎた。

こっそり帰って来て他の隊士に見つからないように庭を通る。

いや、見つかったらダメなのかは分からないけど。
一応毎日こうしてる。

「…誰もいないの？」

今日は炭治郎たちみんな任務かな…
アオイたちもいないや。

…しのぶさんどこだろう。

「なあ、お前聞いたか」

庭を歩いてると前から人がきた。
…木の上にでも隠れよう。

やっぱり鬼だから身体能力上がって楽だなあ。

「何をだよ？」

「カナヲちゃんの同期の女の子、鬼になったらしいぜ」

「まじかよ！？誰から聞いたんだ！」

「彩さんだよ。彩さん」

カナヲの同期の女の子？
え？私じゃん…

「しかも鬼殺隊で隠されてるらしいぜ」

「鬼なのにか？」

「ああ。鬼のくせに守られて、お荷物だよな」

「役立たずじゃねえか」

酷い言われようだな、おい。

…でも言ってることは間違いではないんだよね。
私には血鬼術以外で役に立てる事がないから。

「俺も彩さんに会いてぇ」

「美人だよな、色気もすげぇし！」

ふたりが通り過ぎて行く。

「…よいしょっと」

部屋に戻ろう。

私は役立たずだよね。でもそれなりに頑張って来たんだけどな…

何も知らない人たちに嘘をばら撒かれたり、酷いことを言われて、

あれ？すごく可哀想じゃん私。

それでも良かったんだけど。

私を大切にしてくれる人がいるから。

「…」

部屋の隅に置いてる日輪刀。

「もう一度、握れるかな」

だけど、大切にしてくれる人が減っていく。
減らされていく。

もしかしたら今日にも炭治郎たちも離れていくかもしれない。
カナヲにも、アオイたちにも。

「…お館様。私はもう一度、隊士になりたいです」

私の呟きは静かな部屋に消えていく。

「…よし、決めた！」

あんな言われようで隠れ続けるなんて嫌。
私は簡単に心折れたりしないんだもん。

絶対に言い返してやる。

私を彩さん含めてみんなに認めさせてみせる。