溺愛される鬼少女② (ページ18)

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前向きに② ページ18

「さあ、しのぶちゃん。話を戻しましょうか？」

「富岡さんに何をしたんですか」

「少しお話ししただけよ？」

いや、お話には見えませんでしたけどね。
それより私はさっきから何してるんだろう。

「次は私の番ですか？女の人をどうやって騙すおつもりで？」

しのぶさんだけは敵に回したくないな、と思う。
すごく怖い。

「しのぶちゃんと仲良くしたいのだけど…私の事嫌いかしら？」

「ええ。嫌いですよ。嘘をつき、人を騙す。嫌いにならない要素がありません」

こんな話をするために彩さんは来たんじゃない。
何かある気がする…

「悲しいわ。そう言えば、Aちゃんはしのぶちゃんの事が嫌いならしいわよ、ねえ？」

と私に訪ねてくる彩さん。
なんて分かりやすい嘘だよ…

「そんなわけ」

「…本当ですか？」

しのぶさんの言葉にびっくり。
え？信じるの？

…いや、私のしのぶさん愛がすごいのはしのぶさんも分かってるはず。

「それに、Aちゃんは鬼よ。しのぶちゃんの両親やお姉さんを殺した生き物よ」

ああ、ずるいなこの人の言い方は。
しのぶさんだって分かってて私を置いてくれていたのに…

「そうですけど…」

だんだん大人しくなっていくしのぶさん。

「蝶屋敷に置いていたらいつかカナヲちゃん達まで殺されてしまうわよ？鬼に」

「…っ」

しのぶさんの綺麗な顔が歪んだ。

「しのぶさん…」

「ごめんなさい。ひとりになりたいです」

そう行ってしまった。

しのぶさん…
私が鬼になったせいでごめんなさい。

「あらぁ、可哀想なこと言っちゃったかしら？」

「…」

「さっき蜜璃ちゃんも仲間を殺した鬼の話をしたらあんな顔していたわ…」

「…っ」

私はこういう時にどうすればいいか分かってる。

「あなたが何をしても私は折れませんからどうぞご勝手にしたらどうですか。馬鹿野郎」

前向きにいたほうがいい。
落ち込んでたら相手の思うツボだから。

「強がりかしら？」

「ではお腹が空いたので失礼しますね！」

そう言ってニコニコ笑うと舌打ちされた。
寿命縮んでまえ！！