溺愛される鬼少女② (ページ15)

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柱たちの心⑧ ページ15

ふらふらと山を降りてると縞々模様の羽織が木の上に見えた。

小芭内さんだ。

「小芭内さん！」

私の心は決して折れないわけではない。
傷つくかもしれなくても行動せずにはいられない。

「…俺はお前に一番会いたくなかった」

「そうなんですね！一緒にお昼食べませんか？」

傷ついてもいい。
また戻れるって信じようと思うから。

「行くわけがないだろう。そもそも鬼は嫌いだ。お前は鬼だろう。今まで信用していた自分が馬鹿らしくなる。お前の企みはなんだ」

「…今の企みは小芭内さんとお昼ですかね」

傷ついてもいいと思ったそばから心が折れそう。
小芭内さんは良い人なんだけど、ネチネチしてるから言葉に棘があるよね。

「巫山戯るのも大概にしろ」

これは何を言っても無駄そうだな…

「小芭内さん、私は何を言われても折れませんからね！またお昼ご一緒してくださいね」

「馬鹿な奴め…」

とりあえずここから離れようと思う。
…泣きそう。

小芭内さんに手を振るともちろん無視された。

自分で言うのもなんだけど、今まで私は大切にされてきたと思う。

だから急にこの仕打ちは結構厳しい。
…いや、折れないけど。

悲しくなったり、立ち直ったり…

ごちゃごちゃしてる私の気持ち。

「うるせぇよ」

もんもんとしてると暴言が聞こえて悲しくなった。

「どうしてだ」

あれ、天元さんと義勇さんだ。
道端で何してるんだろう、言い合いかな…

「あいつは斬首だ」

「お前たちは、Aを信じていないのか」

私の話をしてるのか…
鬼になってから五感が鋭くなったと思う。

「義勇さん、天元さん」

遠くの言葉も耳を澄ませば聞こえるよ。

「…お前、いつからいたんだ」

「ついさっきです」

義勇さんの言葉に笑って返す。

「ちょうど来たか、お前はこれから俺が派手に斬ってやる」

「嫌です」

天元さんの言葉にそう返すと同時に
義勇さんが私を隠すように前に立つ。

「お前たちに手出しはさせない」

「…はっ。馬鹿か」

…ピリピリしてる。