溺愛される鬼少女② (ページ31)

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信じてたから① ページ31

「ふぁあ」

目が覚めると炭治郎がいなかった。
…浮気？

「あれ、禰豆子ちゃんもいないや」

どこに行ったの…
ひとりにしないでよ～～なんてね、

「…暇だなあ」

二度寝なんて出来ないし、目がぱっちり。
とりあえず屋敷の中をうろうろしようかな…

コンコンコン

「？…はあい」

ドアを叩く音。
開けるとそこにいたのは無一郎くん。

「どうしたの？」

「A。ごめん」

突然、そう言うと力一杯私を抱きしめてきた。

「…大胆だね」

「ふざけてるの？」

「すみません」

男の子にしては小さい方で…いや、まだ歳も私より下なんだけど。

それでも私よりも身長は高くて
筋肉のついた体は男らしい。

「酷いこと、言ってごめん」

「酷いことって？」

「…鬼のAを悪く言った、嫌いだって…他にも色々と…」

ちょっと意地悪のつもりで聞いたんだけど
ものすごく泣きそうになってる無一郎くんに申し訳なさが収まらない。

本当ごめん。

「いいよ」

「…いいの？」

「まあ、確かに。悲しかったけどね？」

「…ごめん」

私から離れてそう言った無一郎くんの顔が困り眉で可愛くて笑ってしまった。

「なに、笑ってるの」

「ごめん、反応が可愛くてつい」

そう言うとムスッとする無一郎くん。

「悲しかったけど、戻ってきてくれるって信じてたからいいんだよ」

「…A」

「分かってたから、そんなに悲しくなかった！」

そう言って笑うとため息をついた無一郎くんが私の頭に手を乗せる。

不思議に思って首を傾げるとため息をついた。
…なんで。

「あの女の事信じた自分を殴りたい」

「死んじゃうそれ」

「はあ。もう。可愛いこと言わないで、しないで」

何の言ってるのこの子。

「可愛くてごめんね！」

「…」

調子に乗りましたごめんなさい。
何か言ってくれ。

「A。ありがとう」

「んーん。いいって！」

なんだか私がすごくかっこいい気がした。

「戻ってきてくれて、ありがとね」

「…ばかだね」

急な悪口にびっくり。
なぜあなたはすぐそう言うことを言うのですか。