溺愛される鬼少女② (ページ21)

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新しい覚悟② ページ21

「はあ…っはあ…」

久しぶりに刀を握ったから、疲れがすごい。
体を動かすのも久しぶり…

「…っがんばれ」

みんなが寝静まってから、任務に行ってから。
ひとりで庭で刀を振り続ける。

努力は誰にも見られたくないもん。

まるで努力してないけど、
適当にやって出来ちゃった！ってやつが理想だからね！

「…っあぁ！」

刀を上手く使えない。
…たぶん、体に合ってないんだ。

今の私に花の呼吸は使えない。

「…どうしたらいいのっ」

涙が出てくる。挫けちゃだめだ。
頑張って、私。

「大丈夫、大丈夫。解決策はあるはず…」

私の刀を作ってくれた鉄穴森さんに連絡してみ…たらだめだ！！

影の努力なんだから私が解決しなくちゃ。

「…折ってみようかな」

この長さがだめなら折ればいいのでは？
…いや、鉄穴森さんに申し訳ないな…

なら、木刀を使えばいい。
木刀を折ってみよう。

「…っえい！！」

鬼になって変わったのは
力の強さ、体の使い方…他にもたくさん。

鬼なのは恥じゃない。

「鬼だからこそ、この体で出来ることを考える」

今の状況を嘆くんじゃなくて利用してやる。

鬼だからなんだ。
私は鬼だからいい事がたくさんあったじゃない。

「…っ」

木刀を短く折って振ってみるとさっきよりもずいぶんと動きやすくなった。

前とは体の動きも変わったから、

捨て身でも戦えるこの体なら相手の間合いでずっと戦える。

「…すうぅぅ」

空気を吸う。
人間だった時はこの自分が空気を吸う音をよく聞いてた。

「うわあああ！！」

もう少しで何か掴めそうだったのに、誰かの叫び声で集中が切れてしまった…

なにしてるんだろう、こんな夜中に。

「何の騒ぎですか！！？？」

…アオイも大きい声だな。
見に行ってみようかなあ…

「お、鬼だあ！！！」

「！？！？」

男の人、きっと怪我をした隊士の声だ。
今日はしのぶさんもカナヲもいない。

戦える人がいない。

「…行かなきゃ！」

私が守らなきゃいけない。

刀を持って声が聞こえた方へ走った。