関西の太陽 VII (ページ11)

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スイッチページ11

* Taisei

『はいただいまぁ』
福｢ただいま、｣
『手ぇ洗ってー』
福｢うぃ｣

明日がおは朝やからAの家。いつもの事やからただいまでももうなんもつっこんでこん。
洗面所の指輪やらをはずしてアクセサリートレイに。手を洗ってリビングに戻れば俺の寝巻きがぽんと置いてある。

既にAはヨレたスウェットに着替えて、ヘアバンドを装着してオールバック。もこもこの靴下も履いて冷え防止もばっちり。

まあ、可愛い訳では無い。

それこそ舞台期間は可愛いルームウェアみたいなので過ごしてたし、YouTubeで持っていくのもそういうものやし、持ってないわけじゃないのに。

福｢Aって切り替えちゃんとしてんなあ｣
『え？なにが？』
福｢今の感じとか？｣
『……ダサいってか』
福｢うーん、そうとは言わん、いや、うん｣
『ちぇしか見やんもん、いいの』

テーブルに新聞紙を引くのを手伝えば、コンロもしといてーと洗面所に行ってメイクオフを済ませに行く。
戻ってきたAはコンタクトも外してて、すっぴんメガネでパックを張り付けて帰ってきた。

福｢素出しすぎやって、｣
『何ようるさいなあ』
福｢いや良いねんけど、俺はな｣
『あかんみたいな言い方やん』
福｢可愛いで？｣
『取ってつけたみたいな……』

可愛いのはほんま。目が悪いから眼鏡でちっちゃくなってるけど幼くなって俺より歳上なのも疑わしい。
クールビューティとか言われてるけど、化粧さえ落とせば実はベビーフェイスやったりする。

素を見せてくれるのは嬉しいけど、俺の前でも可愛い格好してくれればいいのに、

『はい、鍋食べよ』
福｢お、美味そう｣
『これ食べたかったんやろ？』
福｢…覚えてたん？｣
『うん、はいお皿…あっつ、うわ曇った』

前言撤回。可愛い格好じゃなくてもいい。
俺の前で鍋の湯気で眼鏡曇らせて笑ってるだけで可愛いもん。