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悪魔は男を抱きかかえて自分のお城に連れて帰りました。
誰も使っていない部屋のベッドに横たえて怪我の様子をみると、骨は折れていないようでした。しかし左足に稲妻のように走る傷は深く、熱を持っていました。
悪魔は止血効果のある薬草と化膿止めになる薬草をすり潰したものを男の傷口に塗り、ガーゼをとめて手当てをしました。
男は痛みに喚くほどの気力もなく、気が狂いそうなくらい痛み燃えるように熱い足を放ってただ歯を食いしばり我慢していました。
「少ししたら落ち着くよ」
悪魔が冷たい水で絞ったタオルで、おでこに滲む汗を拭いてやり、別の小さなタオルをそこに乗せる頃には男の呼吸は落ち着いていました。
そのまま悪魔が少し様子をうかがっているうちに、どこか安心したらしい男は気を失うように眠ってしまいました。
「何かあったら声をかけて。俺はここにいるから」
悪魔は男が横たわるベッドの側の椅子に腰掛け、本を読むことにしました。
目を覚ましたとき誰もいなかったら不安かもしれない。けれど近くで見張られていたら、怖がるかもしれない。そう思って椅子を窓際に引きました。
誰も知らないけれど本当は心やさしい悪魔は、たまに森の中で怪我をした動物を助けることがありました。
でも小鹿やウサギ以外の生き物の手当てをするのは初めてのことで、人間にも同じ物が効くのかはわかりませんでした。薬草の効果が強すぎて死んでしまうことはないとしても、その逆はあるかもしれないと少し不安でした。
せっかく沢山の本があり、それを読む時間も果てなくあるなら、こういう時のために何か学んでおけば良かったと思いました。
まさか自分が人間を助ける日がくるなんて。怖がったり逃げたりしない人間がいるなんて。悪魔は考えたこともありませんでした。
ふとベッドを見ると、男は静かに寝息をたてていました。
おでこに乗せたタオルを替えてやると、心地良さそうに少し微笑んだ気がしました。
いまは弱っているから正気じゃないのかもしれない。
元気になって冷静になったら、この男も他の人間と同じように、。悪魔は思考を遮るように頭を横に振りました。
でも、もし、そうなってしまったとしても。この先もう二度と人間と関わることがなかったとしても。今日のことは忘れずにいようと思いました。
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7oh(プロフ) - タルトコさん» タルトコさん、コメントありがとうございます！幸せな気持ちになってもらえてよかった…！こういうのどうなんだろうとか、個人的には好きな世界観だけどこれまでのを読んでくれている人には刺さるのかどうかとかちょっと悩んだりしましたｗこちらこそありがとうですよ！ (2020年7月13日 1時) (
レス) id: 886f4a5b1d (このIDを非表示/違反報告)
タルトコ(プロフ) - こんばんは。恐れられる程の美貌でありながら無垢な心を持つ悪魔の可愛らしさ！悪魔だけれど天使のようなその笑顔に男は心が温かくなり、その温かい眼差しで悪魔は幸せを感じて…と素敵な無限ループを想像しつつ眠れる私もまた幸せです。ありがとうございました。 (2020年7月12日 2時) (レス) id: 276045d76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2020年7月11日 19時
