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それから。何年経ったのでしょうか。相変わらずうつくしい悪魔の側には、普通の人間よりゆっくり年をとる男がいます。
樫の木はさらに大きな木になり、あの頃と変わらず葉を茂らせています。何気なく男が見上げると、何だか少し笑ったような気がしました。
そよそよと風が吹くのを心地よく思いながらふたりはお城の東にある真っ暗な森を進み、木の幹をよけて、花畑にたどり着きました。
ずっと悪魔だけが知っていた素敵な場所は、いまはふたりだけの素敵な場所です。
いつか悪魔がここへ男を連れてきて、晴れた日には花畑で過ごすようになって。ふたりが座れる場所を作るために花を植え替えると花たちは、ふたりの場所を避けるように新たな芽を出し花を咲かせました。いつもひとりぼっちだった悪魔が楽しそうに笑うのを、花たちは見てきました。
ひとりぼっちで寂しそうに微笑んでいた悪魔が、ふたりで声を上げて笑ったりするようになったのを喜ぶように蝶はひらひら舞い、風はそよぎ、花はくすくす花びらを揺らします。悪魔を傷付けるものはここには何もありません。
悪魔はふたりの場所に腰を下ろすと太陽が照らす男の左足に、すうっと指を滑らせました。
「あの時の傷、やっと綺麗になったね。よかった」
「お前が毎晩薬を塗ってくれたからだよ」
傷口が閉じて痛みが引いたあと何年も残っていた痕は、もうすっかり消えました。
男は今日ここへ来るときの樫の木の様子を思い出します。そしてどこか昔を懐かしむようにして口を開きました。
「あのさ、俺と出会った時のこと覚えてる？」
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7oh(プロフ) - タルトコさん» タルトコさん、コメントありがとうございます！幸せな気持ちになってもらえてよかった…！こういうのどうなんだろうとか、個人的には好きな世界観だけどこれまでのを読んでくれている人には刺さるのかどうかとかちょっと悩んだりしましたｗこちらこそありがとうですよ！ (2020年7月13日 1時) (
レス) id: 886f4a5b1d (このIDを非表示/違反報告)
タルトコ(プロフ) - こんばんは。恐れられる程の美貌でありながら無垢な心を持つ悪魔の可愛らしさ！悪魔だけれど天使のようなその笑顔に男は心が温かくなり、その温かい眼差しで悪魔は幸せを感じて…と素敵な無限ループを想像しつつ眠れる私もまた幸せです。ありがとうございました。 (2020年7月12日 2時) (レス) id: 276045d76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2020年7月11日 19時
