「」I miss you…【MS】 (ページ6)

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接点が出来たからと図書室通いは続けていて、彼を見掛ける度に何か声をかけようとしたけど結局あれこれ考えてしまって何も出来ずにいた。
代わりに、図書委員の生徒とは少しだけ仲良くなった。その子はよくカウンターで貸出の手続きをする当番をしていて。生徒が来ない時はそこにあるコンセントに充電を繋いで、片耳につけたイヤホンで音を聞きながらゲームをしていた。

「それ、何してるの？」

なんとなくの興味本位で声を掛けたら、少し操作した後イヤホンを外して僕の顔を見た。

「ドラクエ。」

返ってきたのは一言それだけだったけど、良かった。ゲームだよ、見ればわかるでしょ、とか言われてたら心が折れていたかもしれない。

「懐かしいな。僕も昔やってたよ」

「Ⅳやったことある？」

「あるよ、8逃げとか知ってる？」

「すげ、知ってる！え、ファミコン？」

「プレステ」

そんなにおじさんじゃないよ、と思いつつも食い付いてくれて嬉しかったりして。勉強の話以外でも気軽に話せる子もいるんだな、って事がわかって。僕は元々あまり積極的に生徒に話し掛ける教師ではなかったから。
その子が当番をしている日は軽く雑談するようになった。どうやら図書委員をしているのは本が好きだからというわけではなく、人があまり来ない図書室で充電しながらゲームが出来るという事のみで立候補したらしい。なかなかに不純な動機だ。当然ながら本の話は出来なかったし、しなかった。
図書委員の子、二宮君と彼が仲良さげに話しているところも何度か見かけた。混ざろうと思えば混ざれた、二宮君経由でどうにか顔見知りの枠に入ることは出来た。でも、そうしなかった。意気地がなかった。