「」I miss you…【MS】 (ページ11)

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ある時、僕は、彼の背中に生える羽を見た。
行為の最中というかこれから及ぶという頃合いで、甘えん坊の声を出した彼が「バックでしたい」と言った。まったく本当に若者の好奇心、侮り難し。
こっちの準備をしながら俯せと四つん這いどっちが良いか聞こうとしたけど、きっと恥ずかしがって前者を選ぶだろうから何も知らない彼に選択肢はあげなかった。

「良いよ。四つん這いになって」

「え。恥ず…。こう？」

「上手。きれいな背中してるね」

すっと撫でれば全神経が僕の触れるところに集中するのがわかった。華奢でいて程々に筋肉がついている、きれいな背中。お尻を突き出しているから背骨がS字にしなって尾てい骨へと続く。

「あ、ねぇ俺、羽が生えてんだよ。見える？」

このへん、と左腕を後ろに回して肩甲骨のあたりを指す。デスクライトに照らされるそこに少し顔を近付けると確かに、背骨を境に左右反転する羽が生えていた。

「本当だ」

本当に、この子は青い鳥なのかもしれない。そんな事を思いながら、まだ背中に乗っている腕を、掴んだ。
彼はバランスを崩して肩がペタンとベッドに沿う。う、と小さく呻いたのが聞こえたけれどそれ以上なにかを言う前に、自分の欲望を挿した。
痛みと快楽と恐らく言い知れない恐怖みたいなものに襲われて彼は子供のように泣きじゃくる。それでも僕は、君がしたいって言ったんだとか、都合よく責任を押し付けて意識を飛ばす如くに揺さぶった。
何度も激しく打ち付ける衝撃につられて声を上げた後、ひゅっと息を吸う音がして。一瞬強張った筋肉が弛緩してだらりとなった。まるで背中の羽をもぎ取ってしまったみたいで、いたいけな体の死骸を犯しているようで。自分の非道さを嘲笑った。