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雨水を吸ったスニーカーが重たく、足を引き留めようとする。走ったところでもう見事に全身ずぶ濡れなう。
このまま駅にたどり着いたとして、そのまま電車に乗るのは気が引ける程度には、“あのひと雨に降られちゃったんだなー可哀想に”とか同情の目を向けられる程度には、ずぶ濡れだ。
もういいや、て目に留まったバス停の屋根の下に入る。今更雨宿りしたところでどうにもならないけど立ち止まる理由としては丁度良い場所にあったのだ。
Tシャツもジーパンも何だったらパンツも脱いで一回めいっぱい水気を絞りたい。身に着けているもの全部が重たく肌に張り付いて、気持ち悪い。誰もいなかったらTシャツだけでも絞りたいところなんだけれどしかし、バス停には先着一名様の姿がある。
と、ちらり盗み見たその横顔に、ありえない音を立てて心臓が跳ねた。
見間違える筈がない。なんでこんなとこいんの。ここは明らかに生活圏内ではない、けど、あれから時が経ってるわけだから引っ越したりしていてもおかしくはない。もちろんこのバス停から帰るだけで、何かの用事で訪れている可能性も無きにしも非ず。
声をかけるか、かけまいか悩む暇もなく俺は、半ば衝動的に懐かしい響きを口にする。
「先生、？」
黒髪の下に覗く耳がピクリと動いて、なにか考え事をしているかのように伏せられていた目が“いま”に戻ってくるのを見た。煩い程の雨音が一瞬消え、ゆっくりこちらを向いたのは、俺が三年強の時間をかけてもまだ忘れられずにいたひとだった。
「櫻井君？」
先生が二度ほど瞬きをする間の時間、無意識に息が止まっていた。聞き慣れていた鼻にかかる声が、いとも容易く記憶の蓋を取っ払ってしまう。もう会えないと思っていたひとが目の前にいる。もう会ってはいけないと思っていたひとが、また俺の名前を呼んでくれたのだ。
声をかけたもののその先についてはノープランだった所為で半開きの口のままフリーズする俺を、先生は笑った。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
