届かないもの ページ7
ベ「でも、まさかジンまで気に入るとは」
『え…?』
ベルモットの発言に耳を疑った
『(ジンが…気に入る?)』
あの一瞬の出来事で気に入る要素なんてなかったはず、と眉間にシワを寄せながら首をひねる
そんなAの姿にベルモットは再び笑い「人を惹きつける才能があるのよ」と言うが、その言葉にAは信じられないとさらに首をひねる
ベ「でも、あなたはこの世界に踏み込まなくて大丈夫よ」
私が上手くやっておくわ、と煙草を携帯灰皿に入れ立ち去ろうとするベルモットの腕を思わず掴んでしまった
ベルモットは少し驚いた表情でAを見る
『あなたはずっとそこにいるの…?』
ベ「…………………」
『あなたに黒は似合わない……です』
ベ「なぜ…そう思うの?」
‘黒が似合わない’
ベルモットはこれまで‘血塗られ過ぎて黒に染まってしまった’や‘人情の欠片もない真っ黒な魔女’などと揶揄されてきた過去を思い出す
それなのに、目の前にいる彼女は自分のことを‘黒が似合わない’と言ったのだ
『………理由はないです』
ただ直感的に…と語尾が小さくなるAの言葉にベルモットは段々可笑しく思えてきて吹き出してしまう
ベ「あっはっはっは……!本当飽きない子ね!」
────その時
パンッという銃声音が響いた
『…!?』
ベ「……せっかちな男ね」
ビックリするAに今まで笑っていたベルモットは表情をなくし銃声音がした方向に向かってボソリと呟く
ベ「さ、残念だけどもうお別れの時間よ」
早くこの場から居なくなりなさい、とベルモットは持っていた拳銃を取り出し、銃口をAに向ける
『え…?』
ベ「撃つつもりはないわ……でもあなたがあの女と友人関係だったってことは調査済み…」
『まさか……明美?』
ベ「そう、ヘルエンジェルの娘。妹を組織から外すために犯罪を犯した馬鹿な女よ」
明美の名前を出すとベルモットは肯定をした
Aは絶望の淵に立たされた気持ちになり、大きく目を見開く
ベ「この先に行けばもっと辛い現実を見ることになるわ」
最初からそんな友人なんていなかったと思うことね、とベルモットは冷たく言い放つ
間もなくしてパトカーのサイレンが鳴り響くがAの耳には届かず、ベルモットは舌打ちをしてAを置いてその場から消える
『_____私は明美を助けられなかったの…?』
その言葉は誰もいないこの場所にただ溶けていった
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サンスー(プロフ) - bloomさん» こんにちは、コメントありがとうございます!こちらこそ呼んでいただいて大変嬉しいです(*^^*) (6月22日 22時) (レス) id: b851a5fde3 (このIDを非表示/違反報告)
bloom(プロフ) - こんにちは。たくさんお話更新嬉しいです。これからどうなるのかとても楽しみにしています。思わず吹き出してしまうような場面があったり、心情があったり、とてもワクワクしながら読ませて頂きました。 (6月22日 15時) (レス) id: 11ae776bcd (このIDを非表示/違反報告)
サンスー(プロフ) - うたプリ大好き?さん» コメントありがとうございます!更新遅くて本当に申し訳ないです(;_;) (6月20日 19時) (レス) id: b851a5fde3 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (6月6日 22時) (レス) @page41 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
サンスー(プロフ) - ユナ@前垢消えたさん» コメントありがとうございます!なんと嬉しいお言葉…(T_T)更新遅くて申し訳ないですが頑張ります! (5月20日 10時) (レス) id: b851a5fde3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンスー | 作成日時:2022年12月4日 19時