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扇子を閉じた信長の周りには倒れた男達 。
結果的に助けられた武田は助けた理由を彼に問う 。



「 貴様が勝とうが負けようがどうでもいい … ただこのうつけな連中が戦を汚す権利などない 」



そう言ってマントを翻した信長に 、 他校のヤンキー達が立ち上がって襲いかかる 。
標的として信長だけでなく武田も例外ではなかった 。

次々と襲いかかるヤンキー達はか弱そうなみやびの方に狙いを定めていった 。
厄介なことに信長も武田も足止めを喰らった刹那 、



「 おやめください ! ! 」

「 っ 、 桜子さん ! 私のことは放ってどうか逃げて 、 」

「 ご心配なさらず 、 私にお任せください 」



凄むヤンキー達からみやびを遠ざけ 、 曖昧な微笑みをこぼした桜子はローファーの踵を鳴らして男達の中心に歩み寄った 。

スカートのポケットからそれ(・・)を取り出し 、 強く握ると桜子は一転して優しい微笑を浮かべた 。



「 お願い 、 おにいさん方は強いからきっと私達の力では敵わない …… どうか見逃して欲しいの 」

「 はァ ? あ 、 キミが俺達と来るなら良いぜ 」

「 いいわよ 」



胡散臭く笑む筆頭の男が言うことをあっさりと微笑んで承諾した桜子にみやびが叫ぶ 。
敵に阻まれる武田の顔色も一気に悪くなった 。

先程までの堅苦しい敬語を使わず 、 砕けた緩い口調で話を押し進める桜子に信長は違和感を覚える 。



「 じゃあ一緒に来てもらおうか 」

「 けど 、 」

「 何 ? 怖気付いちゃった ? 」

「 生憎だけど私のパパはちょっとだけ怖い人なの 」

「 ハハ 、 父親なんて放っとけ ! 」



下品な笑い声を上げた男に対し 、 不思議そうに小首を傾げて微笑んだ桜子はそれ(・・)を摘んだ 。

それ(・・)は純銀金メッキ製のバッチだった 。
笑っていた男は輝くそれに 、 蝶が彫られているそれに目を剥いた 。



「 ヤクザのエンブレム … ! ? 」

「 「 「 ヤクザ ? 」 」 」

「 蝶の代紋ってことは 、 」



顔色を悪くして叫んだ男と共にヤンキー達も顔面蒼白で微笑む桜子の傍から一歩 、 また一歩と後退る 。

ひとりの少女に恐れ慄くヤンキー達という異様な光景を目の当たりにするみやび 、 信長 、 武田は不思議そうに声を上げた 。





「 ね 、 私のパパは怖いのよ 」

+ 弐拾壱 +→←+ 拾玖 × 武田 +



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静波紅音 - これで終わりなんて寂しすぎます!!!続きが見たいです!! (9月25日 9時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
SugaR?(プロフ) - とっても面白いはなしで大好きです!頑張ってください楽しみにしてます!! (2022年10月2日 17時) (レス) @page11 id: 0fe5d9de4b (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年9月26日 21時) (レス) @page3 id: b848bb5ef6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十日夜香耶 | 作成日時:2022年9月25日 0時

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