下剋上その１２ ページ13
ゆらゆらと漂うように空を飛ぶ紙飛行機。
このまま飛んでったら取りに行くの面倒くさいなあ、そのまま飛んで戻ってこないかなあ、と考える。
すると偶然か、紙飛行機の元へ押し上げるような風が吹き、くるりと半回転して私の方へと戻ってきた。
『…………らっきー…』
見れば分かるとおり、今の私は退屈すぎて頭が働いていない。いわゆる脳死状態である。
戻ってきた紙飛行機をまた飛ばし、また戻ってこないかな、と考える訳の分からない行動を繰り返していた。
そしてまた紙飛行機が戻ってくる。
あれ、私って紙飛行機のプロだったりする？と考えたあたりで徐々に頭が覚醒し、ようやっと気づいた。
『…これ、術式じゃね？』
私が紙飛行機を飛ばし、それが戻ってこないかと願う時、呪力を消費していたことに。
『甚爾くん甚爾くん甚爾くん！！！！！』
「ンだようるせえな。もう少し声下げろ」
『あっごめん……って、甚爾くんなにやってんの？』
私の兄こと禪院甚爾は、屋敷の門の前で竹箒を片手に掃除をしていた。
女中達が甚爾くんにこういう仕事任せるとか久しぶりに見た。
あ、いや扇のオッサンあたりが命令したのかな？
すると私の疑問に、甚爾くんは面倒くさそうな様子で答えてくれた。
「今日五条家のヤツらが来るから、その準備を手伝わされてんだよ。オマエも知ってんだろ？五条家の神童の話。ソイツを見せびらかしに来るらしい」
『えっ何それ』
「なんで知らねーんだよ」
『だって興味無いし。というか今日そんな催し事あるの？私何も聞いてないんだけど』
宴会とかそういう場の準備に呼ばれない、というのは初めてだ。
女中さんたちいつも私の事こき使うくせに。
「御三家の禪院と五条が一堂に会する場だ。テメェみてえなガキに準備は任せられねえんだろ」
『へぇ〜…子供だからって理由はなんかムカつく』
「その通りじゃね」
『やかましい』
そこでクスリと吹き出し笑う私を、何が面白いんだ、と甚爾くんも笑う。
術式云々の話は既に頭から抜けていた。
『甚爾くんって呪力無いとはいえ一応嫡男だし、出席させられるんじゃないの？』
私の発言に甚爾くんは顔を強ばらせ固まった。
「……………出たくねえ」
『あはは、心中お察しします』
「オマエも出ろよ。妹」
『嫡子でも女なので出れませーん』
「チッ」
この時、私は知る由もなかった。
神童と呼ばれるその子供に、妙な形で気に入られるということを。
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アリス(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです( ˙˘˙ ) (2022年3月10日 23時) (
レス) @page14 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ボーダーラインさん» そう言って貰えて嬉しいです！応援ありがとうございます！頑張ります！ (2022年3月10日 17時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - キャプションで食いついて一気に拝読させて頂きました。あー主人公の性格好き！「下剋上して♡」の団扇とペンラを振りながら読んでしまった…。甚爾に最後で爆弾を投下していくスタイル、いいですねぇ。五条との邂逅も気になる〜！ペンラ振って更新待ってます！！ (2022年3月10日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！がんばります！ (2022年3月9日 18時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 更新待ってます！！ (2022年3月9日 5時) (レス) @page8 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝋燭 | 作成日時：2022年3月7日 21時
