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その場に残された潤と雅紀
目を合わせるでもなく
話をするでもなく
だからといって立ち去ることも出来ずに
風が微かに葉を揺らす音が二人の間を過ぎて行った
潤の側の木の上から
ふと鳥の鳴き声が聞こえてきた
雅紀がその木を見上げる
つられるように潤も見上げた
雅紀は右手の人差で自分の唇を抑え
しいっと静かにするよう潤に促すと
潤の目線を誘導するように
その人差し指で木の枝を見るよう示した
思わずその先を追った潤の目には
小さな鳥の巣が飛び込んできた
ヒヨドリの巣だと雅紀は教えてくれた
今卵を抱いているのだと
もうすぐ孵化する頃だろうと嬉しそうに語った
けれど潤の耳にはそんな言葉は
まるで入ってこなかった
なぜ自分と友達になりたいと思ったのだろうか
雅紀を迷惑だとまで言ったのに
俺を助けてくれるための嘘？
偽善？
薄っぺらな正義感？
そんなことを考えながら
嬉しそうに話す雅紀をぼんやり眺めていた
不意に雅紀の黒くて大きな瞳が間近に迫ってきた
あまりの急な出来事に
一歩、二歩と後退りした潤は
ガシッと雅紀に肩を掴まれ
体中に血管が張り巡らされていたことを
実感するようにドキリとした
友人になりたいと告げた事は
その場を治めたかったからでは無い
本気でそう思っている
この雛が孵る頃には君と友達になっている
雅紀は一方的にそう詰め寄ると
潤の肩に置いた両手をぽんっと弾ませると
キラキラな笑顔で手を振りながら
また明日と去って行った
残された潤は
微かな葉擦れの音と
ヒヨドリの鳴き声を聞きながら
木の上の巣を見つめる事しか出来なかった
俺はアイツと友達になるのか？
嘘だろう?
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43(プロフ) - 大変お待たせして申し訳ありませんでした。見捨てることなくページを開いてくださった皆様、ありがとうございました。亀更新が続きますが、完結目指してカーソルはノロノロと進んでいっております。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。よろしくお願い致します。 (2021年5月12日 21時) (
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作者名：43 | 作成日時：2021年5月12日 21時
