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『…』
あたたかい。そしてちょっとしょっぱい塩の味。
嗚呼、懐かしい故郷の味。まさか転生してまた食べることが出来るとは、思いもよらなかった。
今度はお箸をお米に向けて、つまんで頬張る。
美味しい。じゃあ次は、と箸を伸ばす手は止まらずに、あっという間に食べ切ってしまった。
『…ご馳走様でした』
sn「お粗末様でした」
柔らかい笑みを浮かべたまま、空になった皿を持って台所に入ったぺ神とは対照的に、私はぼーっと座っていた。
濃すぎない、薄めの味付け、ご飯の温かみが未だに口の中に残っているような錯覚が生じる。
それ程までに、衝撃的だった。
久しぶりに食べた“故郷の味”は、頬に熱いものを流すには十分過ぎる理由となった。
sn「お皿洗っておいた、よ…え、え？」
『あ、りがとうございます…』
ぐずっと鼻水を啜りながら、困惑しているぺ神に感謝の言葉を伝えると、慌てたようにどうしたの⁉と私に近寄る。
『ごめんなさい…なんだか懐かしくて…』
sn「あぁ…もう、ほら、擦っちゃダメだよ？目が赤くなっちゃう」
私よりも大きな手を近づけたかと思うと、親指の腹で涙を拭ってくれるぺ神。
その優しい手つきと、近くにある整った顔に顔に熱が集まるのを感じながらも、心地良さに思わず目を細めた。
『…有難う御座います』
sn「…っ！」
なんだか、母親を思い出す。暖かい手、優しい声、柔らかい目つき。
安心感とともに、へらっと笑顔を浮かべると、ぺ神は目を見開いてから何か小さく呟いた。
そして片手を額に当て、顔を隠すようにして、泣き止んでよかった、と言いながら少し離れてしまった。
離れてしまった温もりに少し残念がりながらも、流石にあの距離は少し恥ずかしかったので小さく安堵した。
sn「…彼奴の言ってた通りやな…(ﾎﾞｿｯ)」
その言葉を聞き取ることは出来なかったが、きっと大したことではないだろう(失礼)。
『………ぺ神』
sn「ん？なんや？」
『…また私に和食を作ってください』
sn「！勿論、俺で良ければ」
なんかプロポーズみたいやなぁ、とにやにやしながら言うぺ神に、喧しいわ、と返す。
ひとりぼっちで冷たかった部屋に、温かみが灯った気がした。
この日から、見事に胃袋を掴まれた私と、幽霊(男)ことぺ神との生活が始まった。
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なな - この話面白くてすきです！ (2021年7月19日 9時) (
レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
なな - こ (2021年7月19日 9時) (レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
タラコ - すみません。42話のところの『''和食''は存在しないけど、、、』のところ和食と日本食逆になってると思います！ (2021年2月23日 9時) (レス) id: d000e7e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃい - モモさん» 有難う御座います！本当だ、急に話がとんでしまってますね…ご指摘有難う御座います！更新コツコツ頑張らせていただきます。 (2021年1月24日 9時) (レス) id: d7c3fd666c (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - めっっちゃ好きです…！36話から42話になってますよ！更新頑張ってください！！ (2021年1月23日 9時) (レス) id: 822858a868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むっちゃい | 作成日時：2021年1月8日 16時
