第87Q ページ11
火「・・・っ、甘っちょろいこと言ってんなよ!!!」
そう言い放ち、彼はテツヤを殴った。
反動で床に倒れたテツヤに、私は駆け寄る。
自然と、大我に見下ろされる形になった。
火「そんなん、勝てなきゃただの綺麗事だろうがっ!!!」
・・・だからって、勝てばいいってものじゃないでしょう!!!!!?
そう言いかけた時、テツヤが下を向いたまま言った。
黒「・・・じゃぁ、勝利ってなんですか」
その言葉が、何故か私の胸を突いた。
黒「ゲームが終わる時、多く点を取っていても、嬉しくなければ、それは勝利じゃない。」
あの頃、試合にはいつも勝っていた。
けれど、誰も嬉しそうにはしなかった。
辛かった、それが。
勝つってなんだろう。
そう、思ってしまうほどに、その喜びを忘れていた。
テツヤの背中から、何か、熱いものが伝わる。
胸が張り裂けそうだった。
小「そうそう!別に負けたい訳じゃないって!」
凍るような空気に明るい声が響く。
伊「ただ、1人で気張ることはねぇってことだよ」
日「つか、なんか異論、あるか」
先輩方が大我に向けて、そう言った。
私は涙を抑えるのに必死だった。
痛感していたんだ。
この状況でも、大我に、チームメイトに、暖かい言葉を掛けて上げれる先輩方のいる、この誠凛高校バスケ部に来てよかった、と。
火「・・・異論とか、別に・・・、いや・・・悪かった。」
『・・・大我、、。』
そして、大我に出会えたことも。
大我は、彼らと、何か違う。
火「勝った時、嬉しい方がいいに決まってるわ」
直感的に、かつ、確実にそう思った。
日「さてと、黒子のおかげで火神の頭が冷えたのはいいとして、ピンチは変わってねぇけど、どうする」
先輩がそう言うと、テツヤは立ち上がった。
黒「すみません。ひとつ、今なら使えるかもしれません。」
私は必然と、テツヤを下から見上げる体勢になる。
黒「僕にできるのはボールを回すだけです。」
着ていたTシャツをベンチに脱ぎ捨てた。
黒「けど、もう一段階、上があります。」
・・・
そう言い、凛とした瞳を輝かせたテツヤを、最高にかっこいいと思ってしまったことは、誰にも言わないでおこう。
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涸萌佳雨(プロフ) - ミオさん» コメントありがとうございます(՞ . .՞) 近日公開ですので、今しばらくお待ちください!話の内容をどこまでにするかで題名を検討中なのです(*´ `*) 早く皆様に公開できるように頑張りますね! (2022年11月23日 11時) (レス) id: 2f583b5d8c (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - パスワードってなんですか( ; ; ) (2022年11月22日 22時) (レス) @page36 id: 7d809c8ef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涸萌佳雨 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amemoyiu722/
作成日時:2021年9月23日 19時