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カ「痛いでしょ、やめな」
親指でそっと下唇を撫でられて、体の力が抜けていく。そのまま柔らかく抱き寄せられて、わたしからもくっつくように座りなおした。
『…大学、行っちゃった先輩と、距離、できて、…無理だったから』
体の力が抜けることで、素直な気持ちが流れるように溢れだした。
カ「…うん」
『その、また、離れたら、って思って不安で、…前もこういうことあったけど、』
カ「そっか、…さっき、逃げたのは？」
『いろいろ重なって、不安で…、先輩に話せるような、ちゃんとした話なんかなくて…、平凡な、その、会社勤めの、』
カ「それ聞きたい」
『、…でも』
カ「…」
『先輩みたいに華やかな話、とかなくて、地味な、』
コンビ二で見つけたカンタくんはきらきらしてて、疲れてぼろぼろで不安で一杯の自分が切なくなってしまって。そんなときに、本人が登場して怖くなって逃げてしまった。
今度は向こうから、別れを切り出されるのではないか、って自分勝手な妄想に振り回されて、結局カンタくんまで巻き込んで。
カ「あのねー」
『…はい』
カ「何回でもいうけど、俺卒業式で言ったからね、一緒にいるって。」
『…、はい』
カ「こんなになるまで黙ってないで、連絡してよ、なんでもいいからさ」
『でも、』
カ「でもはなし！」
『…はい、…逃げて、ごめんなさい…』
先輩はいつも通りの顔でにこ、って笑った。その顔を見たらふにゃん、って力が抜けて謝りながら泣く。
カ「逃げても捕まえるし別れても好きでいるし俺最強じゃない？」
『ん、ふふ、…っ、ちょっとこわいけど、っ』
泣きながらも、カンタくんの軽口に笑って答える。
カンタくんはわたしを抱きしめたまま、わたしの耳の後ろあたりにぐりぐりと顔を押し付けて、まるでネコみたい。
カ「あーーよかった捕まえられて」
『…、ん、っごめんね…』
カ「閉じ込めちゃうとこだったー」
『ど、どこに？やめてよ冗談に聞こえない』
ははは、って笑うカンタくんの顔は見えない。気持ちにこたえたい、し、気持ちが伝わってほしい、のでなんとなくカンタくんの二の腕をふにふにと揉む。
つづく
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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます！ (2019年9月23日 4時) (
レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます！素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます！学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて２に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…！短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社長室
| 作成日時：2019年6月5日 11時
