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カ「・・・・・ごめん」
実家の玄関を開けると、インターフォンの前にカンタくんが立っていた。暗い顔をした彼は、高校のときの先輩にきれいに重なって見えた。
お母さんが足をひねって、家のことがしにくいとのことで少しの間実家に戻っている。父は仕事が忙しく、家のことに手が回らない。できたら日帰りでもいいから来てくれない？という母のお願いに、もちろん、と言って荷物をまとめて帰省し今日で三日。
日帰りはめんどうなのでもちろん泊まりで。水溜りハウスはわたしがいなくても優秀な後輩さんたちがいるし、なにも問題はない、と思っていたんだけど。
まさかの。
『え、どうしました？キイチくんお掃除してくれないですか？』
カ「…いや」
『企画で人が必要ですか？』
もう２２時をまわる。わざわざここまで来て、カンタくん本人がインターフォンを鳴らすなんてよっぽどのことだ。緊急事態…？
『あっ！富永さんどこか怪我しましたか！？』
カ「トミーはぴんぴんしてる」
『えっ、そうですか…』
じゃあなんで、と思いつつ一歩先輩に近づく。本当に、高校のときみたい。空気みたいなものが懐かしい。
カ「家にいてほしい」
『…？ はい、お母さんの足が治ったら、戻らせてもらうつもりですけど…？』
カ「違くて！」
おおきな声を出して、そんな自分に驚いている様子の先輩。
動画外ではめったに聞かない大きな声に肩が跳ねる。え、なに？
『…なんですか？家のことする人がいないからってここまで来なくても、』
むっとして、嫌味っぽくなる。途端に先輩はしょんぼりして、ぼそっと呟いた。
カ「…好きだからそばにいてほしい、」
『…』
カ「おれの。」
・・・・。
えっ、
頭が追いつかない。
ぼーっとして、うんともすんとも言わないわたしに、しびれをきらした先輩がねえ！って大きな声を出した。
『いやそんなキレなくても…』
カ「だって鈍すぎんだもん」
『…おかあさーん』
カ「うそうそうそ！」
ディスられたのでお母さんを呼ぼうとすると、慌てた先輩に止められる。困った顔で、Aがいないと寂しい、お願い、と優しく喋るところを眺めながら、わたしはなぜか別れた時のことを思い出していた。
とにかく。
今ここで、なにか答えを出すのは無理だ。
つづく
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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます！ (2019年9月23日 4時) (
レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます！素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます！学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて２に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…！短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社長室
| 作成日時：2019年6月5日 11時
