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*21* ページ23

ー2007年 夏





「「ありがとうございました!」」




甲子園のサイレンと、照りつける日差しとスタンドから聞こえる声援。







春のセンバツ王者常葉菊川を下した俺らの喜びは最高潮だった。









「ノム!!!やったな!!」



「ナイスリード、誠司。」







ガッチリと手を合わせる。








俺とノム。そしてこのチーム。







あの時の俺は、俺らより強いチームなんか存在せんと思っていた









宿舎に向かうバスの中の騒がしさもいつも以上。








いつもは怒る監督も「ほどほどにせーよ」


と、言っただけで、何も言わんかった。









優勝旗がすぐ目の前に。









そう、思ってた。









宿舎に着き、部屋に向かおうとすると監督に呼び止められた。








「お父さんから電話きとるぞ」





受話器を受け取って耳に当てると、騒がし声が聞こえてきた






「誠司、テレビで見てたで!ほんまようやった!」






「ありがと」




「明日は行くからな!」


今日の準決勝は仕事で来られなかったオトンが、明日は来られるだけで嬉しかった。







「お、ちょっと待って。電話代わるわ」



「誰と?」




「誠司くん!!」






電話から聞こえてきた懐かしい声に思わず顔がほころぶ





「Aやん!元気してた?」



「うん、あんな!私も明日行く!!」


「ほんま!?」


「うん!絶対勝ってな!」





最後に会ったのはこの前の正月。







中学のセーラー服が良く似合うAに、「大人になったな」って言ったら顔を真っ赤にし叩かれた。









明日は、オトンが来る。Aも来る。









絶対勝つ。






俺らなら絶対勝てる。









息を吐いて気合を入れ直した。

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作者名:ジャス | 作成日時:2019年2月7日 8時

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