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♪〜♪〜
みんな宿舎に引き上げた後の打撃練習場。
ここにいるのは俺とAだけ。
打撃練習場から聞こえてくる鼻歌はきっと彼女のもの。
『役に立ちたいです。』
あの瞬間、ああやっぱりこの子は昔と何も変わらないAなんやなって思った。
そしたら自分でも訳がわからないうちに頷いていて。
「♪〜♪あ、誠司さん!!」
頼れる同級生が踏み出すチャンスをくれたのだから。
22「A。」
「はい!」
22「よろしくな。」
何か自分の中で変わりたいと願ったのに
1時間後
カキーン
カキーン
カキーン
22「ハァッ、ハァッ....」
「はいっ!そこまでです!」
22「きっつ...!ハァッ...」
「お疲れ様でした!」
笑顔で飲み物を渡してくれるAの額も汗でびっしょりだ。
そういえば昔もよく練習したな
22「変わらへんな、Aは。」
「え....?」
22「あの頃からちっとも、変わってないな。」
「...誠司さん?」
22「ごめんな、A。」
あの日、きちんとありがとうと、ごめんねが言えていたら。
あの日、君に想いを伝えられていたら
あの日、君から逃げなければ
少しは違う未来になっていた?
過去に囚われている自分は
どんな自分より大嫌いだ。
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作者名:ジャス | 作成日時:2019年2月7日 8時