和解 ページ20
「ストレートフラッシュ」
「まじか！！」
「かーっ！やっぱAちゃんは強いなー！」
「チッ」
結論から言うと、その勝負はAの勝ちだった。
しかしヤミは装備一式を取り戻したが、勝負に負けたことが悔しかったらしい。
「いや、ヤミさんの為にも勝ったのにどうして舌打ちするんですか…」
「おい、今度こそ俺が勝つ。もうひと勝負しろや。」
「うわ、偉そう…。残念ですけど、今日はもう帰ります。いつまでも弟を待たせていられないので。」
にっこりと微笑んで私は席を立つ。
勝ち逃げすんじゃねーという声が聞こえたが、構わずにレオの手を引き店を出た。
もちろん、倍ほどになったお金も忘れずに持って。
ーーーー…
一旦別の事に集中することで、レオのことについてもある解決策を思いついたので帰る途中にある広場のベンチに腰をかけた。
「あの」
すると思いがけずレオの方から口を開いた。
「姉上から見て、俺はやはり頼りないですよね…！」
弱気な発言にも聞こえる言葉だったが、その目は真っ直ぐでとても真剣なものだった。
「今日、姉上のこ…恋人、に間違われたことは少し嬉しかった…！でも、あの団長が言っていたように俺はまだ姉上に相応しい強い男とは言えません…ッ！」
ぐっと拳を握りしめ歯を食いしばるレオ。
あれはヤミさんお得意の適当な軽口なんだけど…
間違いとは言いきれないので訂正は入れなかった。
「前の任務と今回のことで改めて思ったのです！
俺は、もっともっと鍛錬を重ね…絶対に"姉上よりも強い男"になってみせますッ！！」
そう断言したレオの顔は何時もの迷いがない真っ直ぐなそれだった。
「うん、その意気だよ」
弟は私がなにかせずとも自分で問題を乗り越えるようになっていた。
先の任務といい、私はレオの成長を嬉しく思い目を細めた。と同時に少し寂しくも思う。
そんな感情を抱きつつ私は笑顔で弟に首飾りをそっと掛けてやる。
「これは…？」
「実はね今日はこれを買いに来たの。」
それは1粒の赤い石を主役にしたシンプルなデザインのネックレスだった。
「身に付けた状態で魔法を発動すると問答無用で魔力をもっていかれる魔道具だよ」
「なっ？！」
魔道士からすれば最悪のアイテムを笑顔で弟に渡すあたりにメレオレオナの面影がチラつく。
「言われてみれば少しずつ魔力を吸われている…！」
そんなレオにAは続ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふーじー。(プロフ) - コメント下さった方々、ありがとうございます！続編の方もよろしければお願いします( ´ ` ) (2020年10月21日 21時) (
レス) id: 594ed5f1a0 (このIDを非表示/違反報告)
メガネコ(プロフ) - こんにちは！！とっても面白くて素敵なお話だと思いました！！ これからも、更新楽しみに待たせていただきますね！！ (2020年10月15日 14時) (レス) id: acba606f80 (このIDを非表示/違反報告)
MAER - 面白いです!更新頑張って下さい､､! (2020年10月12日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
ふーじー。(プロフ) - コメントくださった方ありがとうございます！嬉しいです！これからも頑張ります…！ (2020年10月8日 19時) (レス) id: e1e44de3d6 (このIDを非表示/違反報告)
ミノル - 悩むフエゴレオンさんが、可愛い！！サイコーです！嗚呼、マジ尊い、、更新ありがとうございます！！ (2020年10月7日 18時) (レス) id: 6c7edba7fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふーじー。 | 作成日時：2020年9月30日 0時
