111page ページ14
魔水晶を派手に壊しながらも、とうとうナツはジェラールに勝った。
Aやエルザ、塔にいた子供達の8年に渡る長い戦いは、これで幕を閉じる。
ナツは全力を出し切ったのか、膝をついて目を閉じた。エルザが駆け寄って彼を抱きしめるが、Aの『うわ』という若干の涙声に、彼女を振り返る。
すると、魔水晶の至る所から小爆発が起こり始めた。
『エルザ、ナツを連れて逃げて。コレ暴走しちゃう』
「何を言う！！Aも一緒に」
そんなエルザの声をかき消すように、彼らの間に瓦礫が落ちる。A！と名を呼ぶと、硬い声が返ってきた。
『私は大丈夫...後始末、しなきゃ』
逃げなさい、と凛とした態度で目だけ向けてエルザを送り出す。
彼女の雰囲気というか、オーラのような絶対的なものを感じとったエルザは、苦々しい思いでナツを背負って塔の外を目指した。
しかし魔力は彼らの想像以上の破壊力を秘めていた。器である魔水晶が変形するほどのそれは、例え外に出たとしても爆発に巻き込まれるだろう。
ふと、エルザの脳裏に浮かぶのは、必死に魔力を抑えようと奮闘するA。
もしかしたら彼女は、自分だけ楽園の塔から早く出ていってしまったから、塔の終わりの最後こそは、誰よりも先に出るわけにはいかないと思ってはいないだろうか。
塔と共に、死ぬ気ではないだろうか。
彼女の力を信じていないのではない。
だが、彼女の性格上否定できない仮説だ。
どうするべきかと考えた時に思い出したのは、ジェラールの言葉。
“この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶にお前の体を融合する。そしてお前の体は分解され、ゼレフの体へと再構築されるのだ”
彼は融合と言った。
もし自分が魔水晶と融合することで、外部から干渉しているAよりも速く魔力を操って暴発を止められるなら？
賭けるしかない
Aは言ったはずだ。二人揃って帰らねばならないと。それは本当だろうか。エルザだけでも、と思っていないだろうか。
魔水晶は、エルザを受け入れた。
体力が少し回復して目覚めたナツに、悲しそうな顔をされても、エルザの心は変わらない。
『...全く。ここまでするバカな友達がいてくれないと踏み切れないんだから、私は大バカだよね』
己の魔力の大半を送り込んでエーテリオンを完全に指揮下に置いたAは、魔水晶の暴走を流すべく自分の体を媒体に魔力を空へと解き放つ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 515人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もこ(プロフ) - 私愛され大好物なので嬉しいです！フェアリーテイルのキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってください！ (6月13日 9時) (
レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - 練紅龍さん» いえいえ！無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年9月13日 15時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - マリイさん» なるほど...フェアリーテイルは本小説が最初で最後の予定ですが、なるほど...ユウカの魅力を引き出せるのか...考えてみます。 (2022年9月13日 12時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 奥山乃愛さん» コメントありがとうございます！話のもっていき方を努力しますが、どうしても取りこぼしてしまうキャラはいると思います...申し訳ないです...でも頑張ります！ (2022年9月13日 12時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - フェアリーテイルのユウカ・スズキの小説も書いて欲しいです ユウカ好きなのでラミアスケイルの (2022年8月26日 14時) (レス) id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
