Broken Rainbow (ページ10)

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EP:10 ページ10

「なんでわかったんですか？」

恐怖心より驚きが勝った、そんな声でトアは、リチャードに瞳を大きく広げて聞いた。

「んー、まあなんとなく。」

「僕ら4人と、あともう一人。中学生のルウクって子がいて。僕らは、施設に入った時期が同じくらいやったから、ずっと仲良かったんです。」

ポツリポツリと語り始めたトアの肩を、コタロウがそっと抱く。

その姿を見て、セイヤは自分が施設で過ごした日を思い出して、どこか懐かしさを感じた。

「フウさんのお父さんは、ひどい人で。施設にも何度も来て、フウさんにお金をせびって。暴力も振るったり。フウガが、施設を出たらきっと死ぬまで付きまとうつもりなんです。」

「だから、殺し屋に依頼をして、殺そうとしている。って事か。」

「でも、おかしない？その殺意？はわかるけど、なんで俺らの情報をそんな簡単に手に入れられんねん。」

「それは、多分ニシムラくんです。」

「もう一人の子？」

「っはい。僕とコタロウは、その、両親がいないんですけど。ニシムラ君のお父さんはその、裏社会の人間やって聞いたことがあって….。」

「なるほど。」

点と点が線で繋がっていく。

トアの拳が震える。

「僕らには、何も教えてくれへんくて….。2人で勝手にっ….危険な事して….。」

リチャードには、トアの気持ちが少しわかる気がした。

セイヤが施設を出た後、良からぬ事をしているのはなんとなくわかっていた。

それが、両親を殺した者への復讐のためだと知った時

リチャードには、セイヤをそのまま放っておく選択肢など無かったけれど

『お前は、まだ戻れる。』

そうセイヤが何度も口にしたのをリチャードは覚えている。

でも聞こえないふりをして、着いていった。今もここにいる。

置いていかれたくなかったから。

置いていきたくなかったから。