Broken Rainbow (ページ7)

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EP:07 ページ7

蛇口を回すのはやめて、持っていたフライパンをそっとキッチンのベンチに置く。

「何人かわかるか？」

「たぶん二人。男。でも細身。」

タイセイの武器は、猪突猛進な所だけではない。

この圧倒的な嗅覚だ。

「強い殺気は感じへん。たぶん、襲撃とかでは無いと思う。」

「依頼か？」

依頼人が直接バーを訪ねる事は、最近はメールなども増えているため、減っては来ている。

しかし、依頼人によっては、外部からのハッキングを恐れるものもおり、(マサヤがいるのでその可能性はとてつもなく低いが)、直接接触を図ってくるものもいる。

「二人なら、簡単に殺れるけど。」

「待て。」

端とはいえ、繁華街に位置する「Firebird」。

外の道路は、当然人通りも少なくない。

一般人に戦闘を目撃されたら、いろいろと面倒だ。

「入ってこおへんのか？依頼人なら。」

「入ってこんのなら、こっちから行った方がええやろ。」

タイセイの目は、すでに爛々と輝いている。

戦闘モードになったタイセイを素手で止められる自身はリチャードには無い。

非常にマズい。

今にも外に飛び出して行きそうな、タイセイの腕を掴みつつ、リチャードは計画を練った。

依頼人なら、まだ良い。

でも武器を持っていたら？襲撃が目的だったら？

4人を呼ぶか？いやしかし。

色々な考えが頭をぐるぐると過ぎる。

「リチャ。外の子供二人入ってきた？」

そんな緊張感を打ち消したのは、のんびりとしたセイヤの声だった。

いつの間にか１階に降りてきていたセイヤからは、かすかにタバコの匂いがする。

「子供？」

「おん。店の前でうろちょろしてたで。制服姿のガキンチョ二人。屋上でタバコ吸ってたら見えた。」

「ガキ２人やったら、襲撃では無いかー。何やつまらん。」

つまらなそうに、言ったタイセイは、まだ少し残っていたナポリタンに戻る。

「子供二人が、俺たちに何の用や….？」

リチャードの混乱は深まるばかりだった。