EP:11 ページ11
「ありましたよ。情報。」
マサヤの声に泣きそうに俯いていたトアがパッと顔を上げる。
「ニシムラタクヤ、16歳。父親は、ニシムラ ユウジ。ニシムラ組の組長です。現在は2年前の他組との抗争時の際に逮捕され、服役中。」
「服役中？ほな、なんでそのタクヤって子が裏社会と通じてるんや？」
コジマが訝しげに呟く。
「組長は逮捕されてても、傘下はいっぱいいるでしょうからね。」
「組長の懲役している間、高校生になった息子を祀りあげて、組織の強固化を図ろうとしてるんかもしれんな。」
「これは、俺の推定やけど、おそらく塀の中の父親はこの事を知らんやろうな。」
「お父さんは、ニシムラくんを、危険から遠ざけるために、施設に入れたのに……って事ですか？」
コタロウがマサカドにそう聞くと、パソコンの画面と対峙していた、マサヤの表情が硬くなる。
マサカドはそんなマサヤの肩にポンと手を置いてコタロウの問いに笑顔で話を続けた。
「誰かが、そのタクヤって子を唆したんやろうね。」
「そのタクヤって子に何者かが、俺たちの情報を渡した。そのフウガって子の父親殺しを依頼させるって名目で。」
「でも、それは罠で、実際そいつらの狙いは俺らやな。随分俺らも有名になったもんやなぁ。」
「2人が行方不明になったのは？」
「2日前から、施設に帰ってきてません。」
トアは震えを抑えるために、ぎゅっと自分の拳をもう一つの拳で握った。
「君らが、俺たちの所に彼らの情報を求めてやってくるっていう事も予想してたんやろなぁ。」
「なんやそれ、ムカつくわぁ。まどろっこし。」
タイセイが、苦々しげにそう吐き捨てる。
コタロウは、震える手をなんとか押さえて、セイヤの目をまっすぐに見て聞いた。
「2人は、その無事やと思いますか....。」
「ここまで、練りに計画を練ってんねや。そう簡単に2人を殺すほどアホちゃうやろ。人質がいたら、俺らも動きにくくなるしなぁ。」
『人質』という物騒なワードに、またトアとコタロウの表情が泣きそうに歪むのを見て、セイヤは安心させるように笑った。
「まあ、任しときや。卑怯なやつらにはそれなりに痛い目見てもらうわ。
大人には大人の落し前のつけ方ってもんがある。」
片方の口角をあげてセイヤが他の5人を見回すと、5人は同調するように、笑顔で頷いた。
「依頼、承るで。」
続く (更新停止中)
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作者名：ミノ | 作成日時：2020年5月19日 1時
