scene.53 ページ4
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ユンギside
眠りについた彼女を見て、漸く俺もほっと息をつく
ぐるりと部屋を見回せば大したものは置いてなくて、生活感があるかと言われればない。
＿＿＿＿俺らに似てるな…
そんな中リリがAさんの布団の上に乗っていって丸くなるとゴロゴロと喉を鳴らした
「…いいな。」
こんなふうに、好きな人を、好きなだけ眺めていられたら＿＿＿＿
ハッと自嘲気味に笑って立ち上がるとふと目に入る本棚
「うわ。すげ、」
専門書、小説、写真集。めちゃくちゃ勉強熱心なんだなって。インプットすることを忘れない姿勢が見えて
「…ほんと、誰だよ、《天才児》だなんて一言で片付けた奴。」
ん、と声を漏らして寝返りを打った拍子に、ベッド脇のサイドテーブルからごとん、と物が落ちた
「なんだ…？」
拾うとそれはスケッチブックのようなもので。
「絵コンテ…」
けど今のやつじゃなさそうだ。所々にあるサインを見ると＿＿＿2012年と入れられている
「大学の時の…？」
パラパラ捲るとスケッチと写真が貼ってあって、まぁその絵のうまさにも驚愕したんだけど、それ以上に＿＿＿＿
「！」
はた、と捲る手が止まる
「っ、」
1枚のポラロイド写真。
2人の男女が微笑んで写っている
どちらも、よく知る人物で
1人は茶髪の美青年。もう1人は、今と変わらぬ美しさを放つ美女。
「…ジンヒョン、と…Aさん、??」
付き合って、た、のか…？
いや、そんな風には言ってなかった…ｯ
バクバクと唸りをあげる心臓音。
怖いもの見たさで次のページを捲れば＿＿＿
「っ！！」
何処だろうか
場所はわからない。ただ美しい湖面の上に、白い服を着たヒョンが両手を広げて天を仰いでいる
＿＿＿＿＿綺麗だ、…
「…っ、」
美しい。
こんなに美しいと思った写真を見たのは初めてだった
その写真の下に走り書きのようなサインが入っていて
『Kim Soekjin
「…はく、…ちょう、」
ジンヒョンは確かに美男子だと思う。いや絶対言わないけど
でも彼を『白鳥』と形容できるのは、この世でAさんだけなのではないか、と
そう思ったらなんだか複雑な気持ちが湧き上がってきた
「Aさんがヒョンを美しいって思う理由、なんとなくわかったから悔しいんだけど、俺」
眠る彼女の頬を優しく撫でて、それでも俺はこの人が好きだと確信した
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました！ (2021年10月5日 17時) (
レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mila.
| 作成日時：2019年11月29日 12時
