scene.52 ページ3
.
「…ごめんなさい、家まで送って貰っちゃって」
いつもの作業部屋ではなくシュガくんは自宅まで送り届けてくれた
「いや。思いの外Aさんが重症だし、そんで俺に似て、ぜっったい家帰っても安静にしない、だろ？(笑)」
こうして誰かが世話してやらないとな、と笑った
「…助かります、(笑)」
よかった。貴方のような人に出逢えて。
同じ苦しみを、分かち合える人に出逢えて。
一緒に背負いたいと言ってくれる人に出逢えて。
ベッドに私を連れてくると「ミャウ」とリリが鳴いた
「もしかしてご飯か？」
「…うん、、その棚のとこに…」
「ああ、あったあった」
ああ、私世界的アイドルに何を…と思っていたら
「変なこと考えんなよ。」
「え？」
「俺とAさんは、ただの天才という皮を被った男と女。」
「…っ、」
「それだけ。遠慮はいらないって前に言った」
優しいシュガくんの言葉に甘えそうになる
ほろ、と涙が出て慌ててクッションで顔を隠した
「…ふっ、なにそれ。マジ可愛い(笑)」
「ひゃっ…!?」
「熱あんだから冷やさないと…薬は？」
クッションの隙間からおでこに冷たい布を乗っけられて、ゆっくり後ろに押し倒される
「確か机の上に朝飲んだのが…」
「ん。」
コップ1杯の水と薬を持って横に座ると
「俺は不器用だから、うまい言葉かけてやれないけど、俺がAさんを決して孤独になんてさせないよ」
「…シュガ、く、」
「名前なんて独り歩きさせておけ。俺はいつでも本当のAさんを見てる。」
つぅ、と頬に涙が伝うと、ゆっくりそれを拭ってくれる
「…明日の仕事は？」
「取材と…編集作業と、打ち合わせ」
「取材、ね、」
「…でも今のでちょっと楽になったよ、」
「ん？」
「…シュガくんは、私を私として見ててくれる、って。だから本当は取材とか怖くて仕方なかったけれど、今はどう書かれてもいいやって思った、(笑)」
「ふは、開き直ったな(笑)」
いいんじゃない、それくらいで。
「あんまりこん詰めちゃだめだよ…？」
「は、？」
「シュガくんも。…あまり寝れてなさそうに見えたから…」
すっと目の下をなぞるとビクッと身体を震わせて片手で顔を覆った
「…Aさん、本当に破壊力やばい、//」
「？」
「心配だからここいていいか。そこのソファー使うから」
ほっとくと飯も食わないだろうと
「俺、Aさんが優しいことに甘えて我儘言うわ」
そう言って私のおでこにキスを落とした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 935人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました！ (2021年10月5日 17時) (
レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mila.
| 作成日時：2019年11月29日 12時
