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バイト先に現れたテヒョンさんは相変わらず美しかった。
さらっさらの金髪に、耳にはピアスがついていて、ちょっと個性的なシャツの袖から、すらりと長い指がチラチラと覗いている。
_____モデルさんみたい、
グクくんが可愛らしい顔立ちだとするならば、彼は艶っぽい。言動はギャップがあるけれど、
「…ジミナは俺と同い年なの。大親友。いなくなったら死んじゃう」
それと同じようにね、
「ナムジュニヒョンとホソギヒョンは同い年で。ナムジュニヒョンは、ヒョンがいなくなってからずっと、息するのも忘れてるくらいに血眼になってホソギヒョンを探してた、」
見てられなかったな、とテヒョンさんが視線を落とす。
「俺はヒョンたちが悲しんでるのが一番悲しい。ヒョンたちと一緒にいると、俺は幸せだって感じられる、幸せの基準が、昔は俺一人が幸せならいいって思ってたけど、今はヒョンたちが幸せであればいいって思えるのに____」
俺はヒョンたちになにも…
そう言って口を噤んだ。
「…ジニヒョン、いい人だったでしょ?俺ね、ジニヒョン一番好きなんだ」
「…はい。あんなお兄ちゃんが私も欲しいです、」
「ンフ、でしょ」
だから、
「…だから俺はAちゃんを利用するよ。」
「え____?」
綺麗な三白眼が私を射抜く。手首を掴まれて、低い声が私に向けられた
「…Aちゃん、小さい頃の記憶ってある?僕に話してみてよ、お母さんは?お父さんは?兄弟はいるの?なにをしてた?どこに住んでた?」
「っ、テヒョ、」
「答えて。」
「っ…」
握られた手に力が込められる。痛みに顔を歪めながら、私は必死に幼い頃のことを思い出そうとした。
「っ、…わた、し、は…」
あれ、______
「私、…っ」
どこに住んでた?
______"A、ここは神聖な場所だからね。他の人は入れないんだよ"
あれは、どこ、?家?
______"Aっ、向こうの世界で生き延びなさい…っ!!!!"
生き延びる、?
「っ、…あ、…」
ぐわんと頭の中が歪んで、気持ち悪さがこみ上げる。わからない。私、小さい頃のこと、覚えてないの?
「…ごめん、ちょっと虐めすぎたかな、」
テヒョンさんがそっと微笑んで、私の頬を撫でたのを最後に、
ふっと意識を失った。
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mila.(プロフ) - BeBeさん» BeBeさん、コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!楽しんでいただけて書いて良かったなあと思います(笑) 本当にありがとうございます! (2019年12月19日 22時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
BeBe(プロフ) - ファンタジーものは好みではないのに、この作品はすごく面白くて、お話の中に入り込んでしまいます!!楽しく読ませて頂いてます! (2019年12月17日 14時) (レス) id: e6e2536d94 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - キムさん» わあ、とっても嬉しいお言葉ありがとうございます!2編も楽しみにしていただけると嬉しいです!頑張ります! (2019年10月29日 22時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
キム(プロフ) - mila.さんのもう一つの作品を読んでこれを読み始めました。世界観がとても好きでわかりそうでわからないこの物語の内容がとても好きです。読んでたらなぜか自然と涙が出て来ました。作者さんが書く文章や言葉の選びはとても心に響きます。これから2編読んで来ます。 (2019年10月28日 18時) (レス) id: dd11077a9f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - さなさん» ご感想、とても嬉しいです!引き続きハラハラドキドキするようなお話が書けるように頑張ります!ご愛読ありがとうございます! (2019年10月24日 12時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年10月11日 23時