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ページ42

とりあえずAをベッドに横たえようと肩に手をかける。


…と丁度その時。


部屋のドアが音を立てて開き、俺は思わず顔をしかめた。


「及川さんが来たよ〜!!
……ってちょっ…!!こここれどういう状況!?」

…なんつうタイミングの悪い。

「うるせぇ。今寝たとこなんだから静かにしろ」

「岩ちゃんヒドい!!俺の質問に答えてよ!!」

「…お前が疑ってるようなことは何もねぇよ」

眉を寄せたままそう言ってから、Aから体を離しベッドに横たえて布団をかけてやる。

その間も及川がものすごくウザい顔でこちらを見ていたがそれはスルーした。


「…岩ちゃんいいなぁ」


突然そんな言葉が聞こえてきたものだから、俺は思わず及川の方を振り返った。

唇を尖らせて拗ねたような表情をしているが、可愛さの欠片もなくただただ面倒くさい。Aがやると随分と可愛らしいのにコイツがやると心底イラつくのは何でだ。

ため息をつきながらベッドの端に腰掛ける。


「…何が」

「え?」

「俺の何が羨ましいんだよ」

「…………Aに愛されてるから」


長い沈黙の後ぼそっと呟かれたその言葉に目を見開く。

そっぽを向く及川が本当にふて腐れているように見えて

「ぶはっ」

俺は思わず吹き出した。


「岩ちゃんヒドい!!俺本気で思ってるのに!!」

「悪ぃ悪ぃ。まさかお前の口からそれを聞く日が来るとは思ってなくてな」

どういう意味?なんて恨めしそうに言う及川から、ベッドですやすやと眠るAに視線を移す。






人前では滅多に泣かないコイツだが、俺の前では何度か泣いたことがある。それでも両手で事足りてしまう程少ないためどれもよく覚えているが、

…その中でも一番鮮明に思い出せる記憶がある。


それはAが空手を習い出す前、Aの口が悪くなる前の事。

赤くなった頬を伝う涙。前を見据える澄んだ眼差し。

…俺はこの先も忘れることはないだろう。







「…俺はお前の方が愛されてると思うけどな」

「はぁ?岩ちゃん目大丈夫?」

「うるせぇぶっ飛ばすぞ」


岩ちゃん野蛮〜なんて言いながら及川がベッドに近付く。Aの穏やかな寝顔を眺めながら、まるで心の底から愛しいものでも見るかのようにソイツはそっと目を細めた。

壊れ物を扱うかのように優しくAの頬に触れる及川の姿に、普段はヘラヘラとしているコイツの本心を垣間見た気がして、俺はただ黙ってその様子を見つめていた。

とある朝の話→←*



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作品ジャンル:アニメ
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雨音(プロフ) - 麗さん» 二つとも見落としていました…。訂正いたしました、ご指摘ありがとうございました!! (2020年8月24日 23時) (レス) id: 57a2e7dd63 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 25ページの「」だと思う部分が『』になってます。 (2020年8月24日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 21ページの「あーコレ?、、」なんですけど、多分『』だと思います。話の前後的にも (2020年8月24日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - しのぶさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです…(*T^T)これからも男前な夢主ちゃんをどうぞよろしくお願いいたします\(^-^)/本当にありがとうございました!! (2020年7月6日 20時) (レス) id: 57a2e7dd63 (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ - なんて、男前な夢主なんでしょう。 とても素敵な作品だと思います。これからも頑張って下さい。 (2020年7月6日 16時) (レス) id: 399359edd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨音 | 作成日時:2020年5月23日 23時

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