＊ ページ27
『…国見って顔がいいからつい絆されそうになるのが困る』
「じゃあ絆されて下さいよ」
『だーめ』
「えー。ケチ」
『可愛く言ってもダメなものはダメ』
チラッと腕時計で時刻を確認したAは、なかなか引き下がらない面々に、最終通告とばかりにこう言い放った。
『…付いてきたらお前らのこと嫌いになるから』
「ひどいひどいひどい！！俺らはどうすればいいのさ！」
騒ぐ及川にうんざりといった体で顔をしかめる。
『知らん。帰れ』
「Aのバカぁ！！」
『…』
「ごめんごめんごめん嘘です嘘嘘だからそんな顔でこっち見ないでください俺の心折れちゃう」
『まつっちゃんと花ちゃんと国見もだぞ。はじめちゃんは何があっても嫌いになんてなんないけど』
「Aの薄情者ーえこひいき反対ー」
「Aのバカーアホー岩泉に甘すぎるぞー」
「Aさんの貧乳ー」
『…いい度胸だなぁ、特に最後』
「国見、お前ほんと言うようになったなぁ」
『まつっちゃんは何感心してんだよ。国見、お前一発ぶん殴らせろ』
「え、じゃあ付いてっていいですか」
『怖ッ、何でだよ』
「…だって金田一ばっかりズルい」
そう言って珍しく頬を膨らませた国見の頭を、Aは仕方がないとばかりに苦笑しながらぽんぽんと撫でた。
『…今日はダメだけど、また今度な』
「…」
『返事は』
「…」
『おい』
「………はーい」
渋々といった風に返事をした国見に肩をすくめると、Aは今まで事態を黙って傍観していた岩泉の方を向いて口を開いた。
『はじめちゃん、悪いけどコイツらよろしくな』
「おう、気を付けろよ」
『はじめちゃん大好き。じゃあな、お前らも気を付けて帰れよ』
そう言ってからAはその場に背を向けて走り出した。後ろからは「岩ちゃんばっかズルい！」だとか「うわぁほんっと男前」だとか聞こえてきたけど、無視して目的地を目指す。
鞄を肩にかけ直しダンッと思い切り地面を蹴ると、ふわりと吹いた風が髪を一房さらっていくのが擽ったかった。
そうしてようやく辿り着いたファミレスでは、既に渡と金田一が待っており。
――そして話は冒頭に遡るのである。
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雨音(プロフ) - コメントありがとうございますT^Tそんな嬉しいことを言って下さるなんて涙が…更新頑張れそうです(*´◒`*)猫様も体調気をつけて下さいね！本当にありがとうございました(*'▽'*) (2022年4月29日 19時) (
レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
猫 - まじでこの作品大好きです‼︎体調に気をつけてくださいね。 (2022年4月29日 11時) (レス) @page2 id: fd92b45f0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2020年7月25日 1時
