眼帯少女は色んな意味で狙われています。８【安室透/赤井秀一】

Chap.322 ページ11

ジ「あいつは昔から人のイメージを
カクテルにするのが好きでな。」

『そう、なんですね。』

ジ「ああ、そういうところは
気に入っている。」

今のところは何ともない、ただの会話。
だからこそ、怖い。

この会話も本当はジンにとっては
意味のある物だとしたら、

私を探っているのかもしれないと考えたら、

自分の返答の仕方は正しいものだったのかと
不安になる。

自分の手を見つめていると
三つのグラスが机の上に置かれた。

ジ「バイオレットフィズ、か。」

ジンはそう言ってグラスを手に取ると
そのまま口に運んだ。

バイオレットフィズとは、このお酒の
名前だろうか？

ジ「隠し味にブルーベリー、悪くはない。」

表情に変化はないが、味わっているようだった。
お酒に詳しいのか、純粋に好きなのか。

それに言い方はおかしいけれど、オーナーが
作るお酒に何だか慣れているように見えた。

『いただきます…。』

さっき飲んだものと同じ、飲みやすくて
美味しいお酒だった。

ジ「目の色と同じだな。」

どう反応していいか分からず、
「はい」と震えた声で返した。

すると、ジンはフッと笑う。

ジ「これを言ったところで
お前の警戒心が薄れるとは思っていないが…。」

ジ「俺は、お前の目を見に来ただけだ。」

予想外の言葉に唖然とする。

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