眼帯少女は色んな意味で狙われています。 【安室透/赤井秀一】

Chap.25 ページ26

息を切らせて
足をもつれさせながら
必死に走る。

しかし、男は諦めることなく
私について来ていた。

誰か助けて…！

叫ぼうとした時
ついに転んでしまった。

手はついたけれど
膝を擦りむいてしまい
多分、足首も捻った。

「手間をかけさせないでくれよ。」

男が元々荒かった息を
もっと乱しながら
ゆっくりと近づいてくる。

腰が抜けているらなのか。
それとも、足首を捻っているなのか。

理由はどうであれ、立てない。

無力な私は恐怖で声を出すことが
できなかった。

「怖がらないで、大丈夫だから。」

大丈夫じゃない、貴方が大丈夫じゃない。

目の前にしゃがみ込んだ男は
私にカッターナイフを突きつける。

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