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テトラポッド ページ38

ドライブの途中
富士山が見えるというポイントで車を降りて2人で海岸を歩いた。

午前中はよく晴れていたのに午後から少しずつ雲が広がって
今は空全体が薄いグレーで覆われていた。

だから富士山を見ることはできなかった。


それでも・・・なんとなく防波堤の突端まで行ってみた。

トモくんは消波のためにおかれたテトラポッドにヒョイっと飛び移って
私を振り返った。

あまりにも軽々と行ってしまったので
つられて私も‥何も考えずに飛び移った

飛び移れたけど‥
なんだかちょっと動くに動けなくなってしまった。


「Aさん」
危ないよ!!と言いたげにトモくんは私の名前を呼んだ。

「大丈夫よ」
私が答えると

トモくんはまた軽々と防波堤に飛び移った。
そして私に向かって左手を差し出した。

「大丈夫」
私はなんとか自力で戻ろうと試みた。


でも無理だった‥

「トモくん‥やっぱり手を貸して」

するとトモくんは
「どうしようかな〜」と
私をからかうような表情で言った。

なぜそこで
素直になれなかったのか・・・

私は意地になって自分で防波堤へ戻ろうと
トモくんが立っている場所よりも
少し先のもう少し防波堤へ戻りやすい場所を目指して移動をはじめた。

「Aさん」
トモくんはちょっと困ったような声で私の名前を呼んだ。

移動をはじめた‥と言っても
テトラポッドの上を歩くのは不安定で容易なことではなく
私の動きはノロノロと遅かった。

トモくん私の速度に合わせて防波堤の上を歩いていた。

トモくんは
「Aさん気をつけて」とか
「Aさんほらほらそこ」などと私に声をかけてくれていた。


さっきより風が強くなってきた・・
テトラポッドのあたりは
あっちからもこっちからも風がふきつけてくる。
思いもかけない方向から強い風がふきつけて私はバランスを崩しそうになった。

それはまるで
素直になれなかった私への罰のようだった



ようやく防波堤に戻れそうな場所を見つけた。

テトラポッドの下では
波がバチャバチャと音を立てている。

その音が私の気持ちをざわつかせた・・・

私はテトラポッドから防波堤へ足を伸ばした‥

その時・・強い横風が私のからだを煽った。

優しく撫でて・・・→←【P】OK!Let's go!



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作者名:Luna | 作成日時:2014年2月23日 11時

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