Hug Me Tonight【P】～第２章～ (ページ35)

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【Ｐ】あっくんページ35

Aさんのお兄さんが運転するシトロエンDS3カブリオが裏庭に入ってくるのをカードックの２階にあるカフェから見ていた。

Aさんのお兄さんはすぐに２階に上がってきた。

「山下君。待たせてごめんね」
俺の姿を見つけると人懐っこそうな笑顔で挨拶してくれた。

「いえ、僕もさっき着いたばかりです」

「あっくん見た？」

「はい。今回はいろいろお世話になりましてありがとうございました」

あっくんの事でAさんからAさんのお兄さんを紹介してもらったのは
リリーさんを連れてAさんの部屋に遊びに行く事になった日の前日だった。

その日の夕方ばあちゃんの部屋に顔をだしたら
ばあちゃんはAさんと食事に出かけるところだった。

たまにはばあちゃん孝行もしなくっちゃだよな
って思ってたところだったから
俺は二人と一緒に夕御飯を食べに行った。

マンションの駐車場で車に乗るときばあちゃんが
「あっくん元気？」
と俺の車の隣りに停めてあった
あっくんに向かって話しかけていた。

Aさんが不思議そうにばあちゃんに聞いた
「この車あっくんっていうんですか？」

「そうなのよ。アメリカから来たあっくんよ」

Aさんが不思議そうにしていたので
オレから補足の話をした。

「あっくんに乗ることはないの？」

「いや・・ここに停めっぱなし・・」

「それじゃあっくんがかわいそうね・・・」

「でも・・どうしていいかわかんなくて」

「もしよかったら兄を紹介するわ」

そうだった
Aさんのお兄さんは車の輸入販売やってるってこの前言ってたよな・・・

「Aさんのお兄さん・・紹介してもらえますか」

車の後部座席に座っているAさんとバックミラー越しに会話した。

食事の次の日にAさんのお兄さんから連絡が来た。
そしてあっくんをメンテナンスに出すことにしたんだ。

千葉にあるAさんのお兄さんの知り合いのカードックにあっくんは運ばれていった。

Aさんのお兄さんとはその後何回か食事をしたりお酒を飲んだりした。

俺は余計なお世話かもしれないと思いつつ・・彼女のご主人の事をお兄さんに相談した。

「ありがとう山下くん・・。実は俺も心配してたんだ・・A何も言わないからさ」
Aさんのお兄さんにそう言われて俺は少しホッとした。