【怠惰な王子と元教育係】瞳の邂逅 ２【無償の………】

53＊小さな手 ページ9

《Aside》



ル「あら、もうこんな時間！ラピスちゃん、そろそろ寝ないとお肌に悪いわよ！」



向こうの世界との通話が終わり、只今の時刻は22:47。

ヴァリアーの面々は夜の任務とやらで何人か抜けるらしく、また何人かは早朝の任務のため就寝に入るらしい。

日頃はふざけているような連中だが、仕事に対しての態度は悪くはない。



ラ「……………分かった。」



ラピスはルッスーリアの言うことを聞き、こくりと頷いた。

そして私の服の裾を掴み、身長差のせいか、深紅の瞳で私を見上げてくる。



ラ「……………一緒……。」

フ「分かっている。賭けは賭けだ。約束は守ろう。」



私は服の裾を掴んでいたラピスの手を離させ、私の右手と繋がせる。

…………………小さな手だ。

それでいて、温かい。

私の体温が元より低めだからかもしれんが、心地のいい温かさである。



ベ「姫、やっぱAと寝んの？」



ベルはまだ諦めていないようだ。

口をへの字に曲げて意見している。



フ「そういう賭けだ。守らねば公正でない。」

マ「君は本当にラピスに気に入られてるね。」

フ「そうか？」



私からしてみれば、ラピスはヴァリアーに懐いているようにしか思えない。

何故そこで私になるのか？

共に寝るぐらい、幼子…………と言ったらラピスに失礼か。

ラピスは興味で私の近くにいるだけだろうに。



ベ「だって、どー見たってそーじゃん！」

フ「すまんが、私は日頃のラピスを知らんから何とも言えん。」



一体何がどう見てもそうなのか。



ベ「姫は昼寝とかは一緒にしてくれっけど、夜は絶対ボスとじゃないと寝ないんだし！」

フ「ほう…………。」



日頃と違うのか。

それならばベルが意見してくるのも分からないではない。

何人も、いつもと違うものは気になるものである。

私にとってのラピスという存在のように。



フ「しかし、これはラピスの意思。私は賭けに従うだけだ。」



賭けは賭け。

提示された内容は全うしなければならない。

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