73*面白いもの ページ29
《XANXUSside》
俺は決まりが悪くなり、ソファーに背を任せ、目を瞑る。
X「ラピスは………………」
俺は頭の中で小さな白い存在を思い浮かべる。
初対面で泣き、その後も何度も自分のためでなく他者のために泣いた、深紅の瞳を持つ、小さな白を。
俺は僅かに目を開け、魔術師を見る。
魔術師が何やら驚いたような顔をしている気がした。
X「『俺』を、初めて必要としたからだ。」
ボンゴレの御曹司としてでもなく、ヴァリアーのボスとしてでもなく、純粋に、『俺』を。
それだけで、俺はあいつに救われている。
…………………。
流れる沈黙。
聞こえるのは、俺がティーカップをソーサーに置く音ぐらいだった。
フ「…………………くくっ………」
Aに目をやると、下を向き、肩を震わせていた。
お陰で表情があまり見えない。
フ「くくっ…………これは実に面白いものを見せてもらった………くくっ………」
X「あ゛?」
俺がAを睨み付けると、Aはどこ吹く風という顔でティーカップを口に寄せる。
フ「くくっ………貴様にあんな穏やかな顔が出来るとは思っていなくてな。」
X「…………………?」
した覚えはない。
全くない。
フ「ふっ、まさか、無意識か?くくっ、ラピスの影響はそれほど大きいとな、実に面白い!」
魔術師が茶化すように声を上げる。
実に楽しげな表情である。
X「ハッ、もう一つの世界とやらの俺とは大違いか?」
フ「あぁ、全く違うな。奴は………あれだ。射殺すような目しかしない。」
散々な言われようである。
その対象が『俺』であるのが僅かに複雑な気持ちであるが、悪い気はしない。
契約主と言いながらも、上下関係は無いに等しいようだ。
しかし、このように軽口を叩けるというのも心地が良いものである。
X「テメェとは、普通に出会っていたらビジネスパートナーぐらいにゃなったかもしれねえな。」
フ「くくっ、確かにな。」
そして紅茶を飲み干す。
刻一刻と別れが近づく中、魔術師との世間話も時には悪くない。
部屋の時計は、まもなく昼を指そうとしていた。
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lotus(プロフ) - シャーロットさん» 初めまして、コメントありがとうございます。夢主の誕生日は本編に記されています。現在移行中ですが、よかったら移行先でご確認ください。 (2021年5月13日 9時) (レス) id: be7ef42783 (このIDを非表示/違反報告)
シャーロット - はじめまして、シャーロットと言います。lotusさんの大ファンです。夢主が大好きです。それで夢主の誕生日を忘れてしまって、ずっと引っ掛かっています。どうか教えていただけないでしょうか? (2021年5月13日 7時) (レス) id: bcfd491066 (このIDを非表示/違反報告)
lotus(プロフ) - みりんこさん» ありがとうございます!!翼さんと相談してみますねw (2015年7月26日 19時) (レス) id: 63950fc00b (このIDを非表示/違反報告)
みりんこ(プロフ) - 御二人ともの表現力の豊かさに感動を抑えきれません!とても楽しく読まさせていただきました。図々しいかもしれませんが、またクロスオーバー見たいです!|ω')チラッ (2015年7月26日 19時) (レス) id: d49fca3cd2 (このIDを非表示/違反報告)
lotus(プロフ) - ポケニャンさん» ありがとうございます!続編は翼さんと相談しながらですねw (2015年7月21日 1時) (レス) id: 63950fc00b (このIDを非表示/違反報告)
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