70*覚えていたい ページ26
フ「くくっ、まぁ、そこまでいうのならばありがたく受け取っておこう」
そんなラピスの心情を汲み取ってか、Aはすこし面白そうに笑いながら、彼女の頭を撫でる
フ「しかし、同一人物であるにも関わらず、あのザンザスがこのような無力な子供を大切に思うとは、あちらの世界のザンザスではあまり想像できんな」
ラ「あ……………ラピス、A、聞く、ある」
フ「なんだ?」
ラ「……………にぃに、一人、違う?」
恐らく、これはAの知るザンザスのことを言っているのだろう
この世界で、自分と出会う前のザンザスは孤独だった
では、自分と出会っていない彼は一体どうなんだろう
ここと変わらない幹部がいるようだが、ザンザスは、大切な義兄は独りではないのだろうか
ラピスはそれが聞きたくてしょうがなかった
フ「ふむ、私もそこまで付き合いが長いというわけではないので、明確な回答ができるかわからんが、少なくとも孤独ではないと感じている」
赤いワインの注がれたグラスを持ち上げ、軽く口に含むと、すこしそれを眺める
フ「媚びへつらう者は嫌っているように思えるが、ベルと含む幹部達をただの駒としてではなく、仲間として思っていると私は感じている
それに、かつて牙を向けられたにも関わらず、奴としっかりと向き合おうとしている次期ボスもいることだしな」
ラ「よかった……………」
本当に安心したように、嬉しそうにホッと息をつくラピス
例えどの世界にいようと、彼女にとっては同じザンザス
大切な存在として見てしまうのは当然ともいえることだった
フ「さぁ、そろそろ眠るとするぞ、いつまでも貴様を起こしていては、あとで貴様の義兄にどやされそうだ」
いつの間にかグラスを空にしていたA
グラスとボトルを消すと、黒く長い髪を揺らしながら静かに立ち上がる
ラピスも少しだけ残っていたホットミルクを急いで飲むと立ち上がったAに続く
ベッドにたどり着くと、すこし高さがあるため、Aはラピスを抱き上げ、先にベッドに寝かせてから、自分のベッドへと入る
ラ「おやすみなさい………」
フ「あぁ、おやすみ」
Aと過ごす最後の夜
その暖かさを最後まで覚えていたいかのように、ラピスはきゅっと彼女のネグリジェを握りしめると、静かに眠るへと落ちる
そんなラピスを見て、Aはまた面白そうに笑うのだった
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lotus(プロフ) - シャーロットさん» 初めまして、コメントありがとうございます。夢主の誕生日は本編に記されています。現在移行中ですが、よかったら移行先でご確認ください。 (2021年5月13日 9時) (レス) id: be7ef42783 (このIDを非表示/違反報告)
シャーロット - はじめまして、シャーロットと言います。lotusさんの大ファンです。夢主が大好きです。それで夢主の誕生日を忘れてしまって、ずっと引っ掛かっています。どうか教えていただけないでしょうか? (2021年5月13日 7時) (レス) id: bcfd491066 (このIDを非表示/違反報告)
lotus(プロフ) - みりんこさん» ありがとうございます!!翼さんと相談してみますねw (2015年7月26日 19時) (レス) id: 63950fc00b (このIDを非表示/違反報告)
みりんこ(プロフ) - 御二人ともの表現力の豊かさに感動を抑えきれません!とても楽しく読まさせていただきました。図々しいかもしれませんが、またクロスオーバー見たいです!|ω')チラッ (2015年7月26日 19時) (レス) id: d49fca3cd2 (このIDを非表示/違反報告)
lotus(プロフ) - ポケニャンさん» ありがとうございます!続編は翼さんと相談しながらですねw (2015年7月21日 1時) (レス) id: 63950fc00b (このIDを非表示/違反報告)
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