【歌.い.手】男装歌い手はじめました【そらる】 (ページ13)

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#13 合図だよねページ13

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今さっき、授業終わりのチャイムが鳴った。

よっこらせ、と腰を上げたあたし達はゆっくりと教室へ向かった

『それにしても、彼方さんがそらるさんなんてわからなかったわ』

「そう？すぐバレるかなって心配だったんだけど」

よかった、と笑うそらるさんはかわいい。

『でもセクハラ発言は許さないからね』

「まだ根に持ってるの…」

『当たり前でしょ』

相当恥ずかしかったんだからね、まぁ気づかなかったあたしもあたしだけど…！

それに、男の人に注意されるってなんか複雑。

「…でも俺、AさんはAさんでいいと思うんだけど」

『なッ』

やめろ、そこでデレを挟むな！！

『…Aでいいから』

照れ隠し、なのかわからないけど。

さん付けは嫌だからって呼び捨てにしてもらった。

するとその瞬間

「わかった。

…A」

耳元で優しく名前を呼ばれてゾクゾクした。

喉がヒュッてなる感覚。

『…セクハラ』

「顔真っ赤だけど？」

『っさいッ』

照れる、恥ずかしい。

ぜっっったい遊ばれてる…！！

しかも、普通の同級生ならまだしもあのそらるさん…だと思うとなんだか違和感しかない。

このドキドキはきっと、慣れないことへのドキドキだ。そうだ絶対そうだ。

そう自分に言い聞かせて、教室のドアを開けた

「あ～っ！小林くんっ彼方くん遅いよぉ～！」

ちょうどドアのそばにいた愛生が飛んできて甘ったるい声を出す。

女子や男子も今ほとんどの人があたしに注目してる。

チラッとそらるさんを見ると、目があった。

その瞬間、そらるさんの目が笑った

…いいよ、って合図だよね

信じるよ、そらるさん

意を決したあたしは、思い切りウィッグをとった。

周りからは悲鳴。

男子も女子も驚いてる。

なんたって、みんな大好き小林くんの中身は

みんな大嫌い小林Aさんなんだもんね

「えっ、Aさんっ？！」

愛生の取り巻きに囲まれてた真冬さんが、驚いた声色で近寄ってくる

『真冬さん、ごめんね、騙してて』

察して、というような顔で見つめると、そらるさんとおんなじように笑った。

真冬さん、もしかしたらまふまふさんなのかな…

場違いなことを考えたのをかき消し、、次はどうしようかと考えた。

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