【覆面系ノイズ】放課後、旋律がきこえる【杠花奏】 (ページ38)

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# 37 ページ38

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ユズside

スマホの小さな画面の中で歌うその“天使”に

僕らは飲み込まれた

みんな口をあんぐりと開けて、言葉を発しない

アナウンサー(以下アナ)「突如現れた謎の歌姫、“ＡＳａＨｉ”さん。今回は、その彼女の謎に迫っていこうと思います…」

彼女の名前は“ＡＳａＨｉ”というらしい。

ＡＳａＨｉと名乗る女の子は、顔全体を覆うマスクを被っている

アナ「イノハリに続き、覆面系がブームなんですかね？」

『別に…あたしは顔を出したくないだけで』

一応バラエティ番組であるのに、素っ気なく冷たい態度で対応する

その声に懐かしさを覚えた

それもそのはず

『まさか…ね』

深桜がそう呟く

それに反応して、ハルヨシやクロも目を丸くする

『み、深桜、もう一回声聞かせて頂戴』

ハルヨシが青ざめた顔で再生を促す

再び画面の中で歌い始めるＡＳａＨｉ。

やっぱり、何処かで聞いたことがある声

でもハッキリと出てこない

『なんであの子が…』

クロは笑みを引きつらせた

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『ユズ、帰ろう』

今日も無表情でアリスが声をかけてくる

『あ、えっと…』

アリスと話してるのに、心は上の空

なんて返事をしようか迷った

『ごめーんニノっち、今日ユズくん借りてええ？』

そんな中、肩に手を乗せてきたのはクロだった

『ええ、じゃあ私は帰るわ』

アリスはそう言って、長い髪を靡かせながら背を向けて歩き出した

そんなアリスの背中をじっと見つめていると、ひょこっと深桜が視界に入った

『ちょっとユズ』

『え、何？』

『どうするのよ』

『どうするって何を』

深桜の言っている意味がわからなかった

何をどうするのかさっぱりわからない

すると、ハルヨシが暗い顔のまま力なく呟いた

『ユズ、アンタわからなかったの？』

『だからなんのこ』

『あのＡＳａＨｉって子、きっとAちゃんやで』

僕が言い終わる前にクロが重ねた

______Aちゃんやで

その言葉が、重く心にのしかかった。

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