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「おはよう、もう大丈夫なん」


私は朝早く来て宮治が登校してくるのを待った。
前回の失敗を踏まえ宮侑が教室に入ってくるのを見越して、隣の教室の隅にいる。


「おん、ちょっと宮くんに話しあって」


人気のないところまでくると、私はまた口を開く。


「あんな、誰にも言ってへんねんけど
昨日、記憶がちょびっと戻ったんよ」


宮治は表情を変えない。
ポーカーフェイスなのか、単に興味が無いのか。

私は話を続ける。


「私が落とされた時の事でな、階段の上で宮侑くんが私を見下ろしてんねん」

「見間違いやないん?
俺ら双子やし」


にこっと笑う顔は確かに双子のものだった。
綺麗に、不気味に。

私は気圧されないように「見間違えん」と対抗する。


「俺が落とした、それはすまん
けど、あいつがそんなことするわけないやん」

「どうしてそんなこと言うん
絶対に、宮くんやない!」

「ちゃうねん、俺が落としたんや」


話はそれ以上進みもしないまま、チャイムが鳴る。
最後に、ごめんな、と彼は言った。



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作者名:栗原 | 作成日時:2018年10月7日 19時

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