. ページ43
陣平はドアの方に寄りかかり私の体に腕を回して規則正しく寝息を立てている
私は遠隔のボタンで研二の方のドアを閉め、無防備に放り投げられていた研二の手を陣平の腕に手をかけた方と逆の手で握った
「…2人とも、いつもお疲れ様」
私はその体制のまま目を閉じて彼らと共に眠りについたのだった
.
.
目が覚めた。
ゆっくり目を開ければ私は陣平の肩に頭を乗せていた
「…わ、ごめん、」
「…はよ」
「お、おはよう…」
彼は腕を組んでじっとしていた
いつから起きていたのだろうか。
彼が眠った時私は彼の腕に包まれていたはずだったし、どうやったら彼の肩に頭が乗るのか…
それも分からないし、彼は自分の肩に私の頭が乗ったのを退けもせず腕を組んでじっとしていたのか。
いつのまにかサングラスをかけている彼の横顔はとても綺麗で、私には少し眩しかった
「…着替えたの?」
「おう…仕事だからな」
なるほど、一旦寮に帰って着替えてまた車に戻ってきたのか…
彼はスーツを着ていて、酔いもすっかり醒めたようだった
「紺色…」
「あ?」
「…黒、着ないの?」
「…んだよ、黒の方がいいのか?」
「いや…何色でも似合うから…」
そう言えばそうかよ、とぶっきらぼうに視線を逸らされる
原作では黒いスーツしか着ていなかった彼。
それは親友である研二を弔うためだった。
彼が生きている今、その必要はなかったのだ。
「…」
「…お、おい?」
私が急に黙り込んだのに気付いてこちらを見た陣平は、きっと私の目に浮かぶ涙を見たのだろう
「ご、ごめん、なんか…疲れてるのかも…」
「…無理すんなよ」
「うん…ありがとう、陣平」
「おう」
私が笑ったのを見た陣平は私の頭にぽん、と優しく手を置いた後、仕事行くわ、と車を出て彼は職場に向かっていった
零れ落ちそうになった涙を零さぬように拭って、隣で未だスヤスヤ眠る研二を見る
「ありがとう、生きててくれて」
彼の少し長い髪にサラッと指を通して、その手を頬に当てた
「ありがとう、本当に…っ」
あぁ、25歳にもなって、なんでこんなに泣いてるんだろうな。
まだ、全てが終わったわけじゃないのにね。
彼の寝顔はあまりにも綺麗だった。
2057人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉優花(プロフ) - 彩豊さん» 沢山コメントありがとうございます!読み返してもらえて凄く嬉しいです…!応援、すごく励みになります!これからも楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2022年10月27日 23時) (レス) id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!萩原くんを助けられてよかったです✨組織潜入はドキドキしました(>人<;)凄く面白くて読み返しています(*≧∀≦*)応援してます☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2022年10月14日 11時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
茉優花(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!嬉しいです…!そのお言葉がとても励みになっております!!これからもよろしくお願いします!( ¨̮ ) (2022年7月21日 20時) (レス) id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - とっても面白くて何回でも読んじゃいます!今では仕事帰りの楽しみです笑笑 (2022年7月21日 18時) (レス) @page50 id: cf5d2ac92c (このIDを非表示/違反報告)
茉優花(プロフ) - 皇さん» コメントありがとうございます!そんな事を言って頂けてとても嬉しいです…!原作リスペクトの気持ちを込めてなるべく近いように書かせて頂いております!救済してるので所々変わってしまう所はあるかと思いますがこれからも楽しんで頂けたら幸いです!( ¨̮ ) (2022年7月16日 10時) (レス) @page31 id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茉優花 | 作成日時:2022年5月30日 4時