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気付けば夜も更け始め、俺はいつものコンビニでビールを買って帰路につく。
なんだかんだ、今日が終わるのも早かった。
まだ水曜日だと自覚すると、なんとも言えない窮屈な気持ちになって身体が重くなった気がした。
早く大人になりたいと願っていた、あの高校生の頃の自分に、学生時代というものは限りのある貴重な時間だから大切にしろよと伝えたい。
3年間という、人生の中のたったそれだけの経験なのだから。
ふとまた思い更けそうになった時、脳裏に浮かんだのは、何故かあの雑貨屋でぶつかってしまった男性の事だった。
顔もろくに見えてなかったくせに、何故か印象に残っているとはなんだか笑えてしまう。
…そういえば、いのちゃんは髪の毛染めたりしたのかな
髪の毛を染める事に興味がないと言っていた俺の記憶の中の いのちゃんは、まだ綺麗な黒髪を揺らしているけれど、きっとこんなに月日が経ったんだ。
髪型、髪色だってきっと年と一緒に変化を遂げたはずだ。
(見てみたかったなぁ)
きっと君なら、なんでも似合う。
そしてきっと、どんな髪型でも俺は胸を打たれてしまうんだ。
だけど、そんなこと今更考えたって、会う術はない。
わかっている。
わかっているからこそ、君はずっと俺の中で大切な思い出として位置しているんだ。
『ゆうと』
彼の俺を呼ぶ甘ったるい声は、忘れやしない。
君の笑顔も。
君の綺麗な手も。
…今度、彼女と一緒にあの島に行ってみよう。
もしかしたら、君に会えるかもしれない。
お互い大人になったねって笑い合って。
結婚をしたい人だと彼女を紹介して、茶化されて。
純粋に彼女にも、あの島を、あの風景を見てほしいと思った。
きっと気に入ってくれるだろう。
だって、俺の愛しい人なのだから。
ベランダの窓を開ければ、随分涼しくなった風が吹き込む。
夏の終わりを感じるその空気に、いのちゃんとの最後の夜も少し寒かったことを思い出した。
缶ビールのプルタブに指をかけ、夜空を見上げる。
やっぱり、ここじゃ、ビルの明かりに負けて星は見えやしない。
(いのちゃん、)
君も幸せだといいな。
俺も、幸せになるよ。
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この空のどこかで君が笑っていますように。
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そんな俺の昔話
fin.
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あんこ(プロフ) - ユリアさん» ユリアさん!ありがとうございます。゚(゚^∀^゚)゚。時間かかってしまいすみませんでした!是非、ゆといの楽しんで頂けると嬉しいです!! (2018年9月30日 12時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ユリア - あんこさん、完結おめでとうございます!遅くなってすみません。まだ最後まで読んでいないのでゆっくり読もうと思います!新作はやまいのですね!やったーー(*´ω`*)嬉しいです。新作の方も楽しみにしてます! (2018年9月30日 0時) (レス) id: 5d6e48b7e5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!!1番しっとりした作品にするつもりです。見守って頂けますと幸いです。よろしくお願いします! (2018年9月15日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - すごくしっとりしたこのお話の世界観が好きです。更新頑張ってください! (2018年9月15日 22時) (レス) id: edc3e92603 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 佐々木さん» 佐々木さんコメントありがとうございます(/*´ `)/いやむしろドキドキ初挑戦中です(笑)ytin.....頑張りたい!!!(笑) (2018年7月3日 22時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2018年6月16日 22時