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「星の砂、お好きなんですか？」
そんな俺に店員さんが声をかける。
俺ははっとして、夢中に見すぎた事に少し恥ずかしい気持ちになりながらも、不思議とその店員さんの優しい声に絆されてゆっくりと口を開いた。
「…昔、好きな人から貰ったんですよ。ちょっと懐かしくて。」
「あら、素敵な思い出ですね」
次いで「ゆっくりご覧になってください」という店員さんに俺は微笑み返すと、また改めて店の一面を見渡す。
すると入口付近の壁に、大きな広い海の絵画が貼られていることに気づき、俺はまた惹かれるように歩み寄った。
……これがあの島かは正直わからない。
だけど、広大な砂浜に、青い海。
並ぶ古びた小さなお店。
その景色に、自転車に乗った自分達が今にも走ってきそうな、そんな画だった。
「っと、すみません」
振り返り身体の向きを変えようとした時、そんなに近くに人がいるとは思わず肩がぶつかってしまった。
どうやら俺が絵に見惚れている間に、もう1人お客さんが入ってきたらしい。
「いえこちらこそ」
危ない。
思い出に浸りすぎていた。
ぱっと反射的に顔を上げ、まだ捉えきれない視界の中で、そのぶつかってしまった相手の細身の男性は軽く会釈をし、そのまま店の奥へと進んでいった。
茶色い、ふわふわとしたマッシュヘアーが歩くたびに揺れる様が、なぜか酷く目に焼き付いた。
そんな彼の後ろ姿を眺めながら、怖い人じゃなくて良かったと、そっと胸を撫で下ろす。
…それにしても男の人１人で、こういうお店に来たりするんだなぁなんて関心して、いや俺だって星の砂に釣られて入ってきているんだから人のこと言えなかったと自嘲した。
「星の砂、お好きなんですか？」
背後で店員さんがその男性へ同じ質問を投げかけているのが聞こえる。
やっぱり、男性客なんて珍しいからだろうか。
(…さ、帰ろうかな)
扉を開けば、カランコロン、と古びたベルの音がする。
俺は、星の砂のおかげで懐かしい記憶がまた呼び戻されたような温かい気持ちを抱きしめるようにして、店を出た。
「…俺、子供の頃小さな島に住んでいて。すっごく身近だったんですよ。懐かしいなぁ…。しかも、恥ずかしい話、好きな人にプレゼントしたこともあって」
「…あら、素敵。さっきいらっしゃったお客様も、同じようなこと言ってましたよ」
「…え？」
だから、
その会話は、俺には届かない。
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あんこ(プロフ) - ユリアさん» ユリアさん！ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ＾∀＾ﾟ)ﾟ｡時間かかってしまいすみませんでした！是非、ゆといの楽しんで頂けると嬉しいです！！ (2018年9月30日 12時) (
レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ユリア - あんこさん、完結おめでとうございます！遅くなってすみません。まだ最後まで読んでいないのでゆっくり読もうと思います！新作はやまいのですね！やったーー(*´ω｀*)嬉しいです。新作の方も楽しみにしてます！ (2018年9月30日 0時) (レス) id: 5d6e48b7e5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - めめさん» ありがとうございます！！1番しっとりした作品にするつもりです。見守って頂けますと幸いです。よろしくお願いします！ (2018年9月15日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - すごくしっとりしたこのお話の世界観が好きです。更新頑張ってください！ (2018年9月15日 22時) (レス) id: edc3e92603 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 佐々木さん» 佐々木さんコメントありがとうございます(/*´ `)/いやむしろドキドキ初挑戦中です(笑)ytin.....頑張りたい！！！(笑) (2018年7月3日 22時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこ
| 作成日時：2018年6月16日 22時
