検索窓
今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:4,851 hit

line 117 ページ4

谷崎が叫んだ。やがて顔を上げ目の前を見て谷崎は目を見開いて走り出した。敦と鏡花もそれを追い掛ける。


「お前…!!ナオミを返せ!!」

「谷崎さん!!」


そこにはモンゴメリの後ろ姿。谷崎が手を伸ばすとモンゴメリは振り返り、ニタリと笑った。その姿を捉えた敦と鏡花もハッとして目を見開く。


「遊びましょ?」





気づけばどこか知らない部屋に三人はいた。倒れて目を閉じている敦に鏡花が声をかける。谷崎は既に起きており、部屋を見渡していた。


「大丈夫?」

「っ…。ここは?」

「わからない、多分あの人の異能」

「なんだ…!?」


谷崎は白い扉に駆け寄り、小さな窓越しに外を見た。しかしその世界は時が止まったように動いていない。


「どうしたんです谷崎さん」

「外の世界が動いていないンだ」


すると、どこからか声が聞こえてモンゴメリが姿を現した。


「ようやくお目覚めね。ようこそアンの部屋へ」

「ナオミを返せ」

「あらあら落ち着きになって?探偵社の子はあの扉の向こうよ」


モンゴメリはそう云って反対側の扉を指差した。それを聞いた谷崎は直ぐに駆け出す。扉を叩きながら叫ぶ。


「ナオミ!ナオミ!!」

「…その扉は鍵が無いと開かないわよ?」


谷崎は顔を顰めたまま振り返った。その顔を見てもモンゴメリは笑ったまま。すると谷崎はモンゴメリに掴みかかった。しかしそれでもモンゴメリは嘲るように笑い続ける。


「た、谷崎さん!」

「乱暴はよしてくださる?痛いのは嫌いなの!」


キッとモンゴメリが睨む。それでも谷崎はモンゴメリの服の襟を掴んだまま離さない。


「っ、アン!!」

「!」


するとどこからか巨大なぬいぐるみのようなものが敦と鏡花の背後に出現した。二人は咄嗟に左右へ床を蹴って飛んだ。そのままアンと呼ばれる巨大なぬいぐるみは、谷崎の方へと進んでいく。そして、モンゴメリに掴みかかる谷崎を捕まえた。


「何だ!?」

「…捕まえた」


恐ろしい笑みをたたえてモンゴメリが云った。危険と判断した二人はアンに突っ込んでいく。敦は腕と脚を虎化させ、鏡花は夜叉白雪を呼び出した。しかしアンに攻撃を仕掛けるより早く突然扉が開き、大量の人形の腕のようなものが谷崎に向かって伸びてきた。それは谷崎を幾重にも掴む。


「うわああああああ!!!」

「谷崎さん!!」


抵抗も出来ず腕たちに引っ張られるまま、扉の向こうに吸い込まれていってしまった。

line 118→←line 116



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中原中也 , トリップ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす) | 作成日時:2019年6月8日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。