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＊ ページ33
「二宮くん…」
もしも彼が来てくれていなかったら今頃……考えただけで震えが止まらない。
見ず知らずの男の人に付いて行くなんて…大バカ中の大バカ。これは説教確定だ。
……と、覚悟を決めたのに。
「二宮くん、本当にごめんなさ… …っ！」
謝り終える前、二宮くんは私の身体を強く抱き締めて
「………良かった」
耳元で小さく、そう言った。
「に…二宮…くん…？」
「ほんっと…何やってんの…」
「…」
「お前が写真送ってくれてたから見つけられたけど…」
「あ…」
「あれがなかったらお前…」
「ご…ごめんなさい…ごめんなさいっ…」
改めて恐怖を感じた私は、二宮くんに何度も謝った。そんな私を二宮くんはぎゅうっとさらに強く抱き締めて、もう一度「良かった…」と声をこぼした。
「それにしても二宮くん…なんでコミケに？」
「あのねぇ…俺も一応ゲームオタクって、ご存知ない？」
「あ…」
「夏コミ冬コミ、毎年来てるっつーの」
「そ、そうなの…！？」
「うん」
「ほぇ…」
「…」
「…」
「なんだよ」
「え。あ…いつまでこうしてるのかなー…って」
二宮くんの腕の中、緊張していたのか私の身体は汗を掻き始めていた。
「離してほしい？」
「えっ…」
「ふふ…冗談」
ふっと離れた、私と二宮くんの身体。
私たちの間にどれだけの熱がこもっていたのだろう。少し風が吹くだけで、とても涼しく感じた。
…どうしよう。たぶん、わりと本気で…抱き締められてしまった。
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作者名：ミト
| 作成日時：2017年8月10日 18時
