Lv31.たぶん、わりと本気で ページ30
- 夏コミ当日 -
「ひゃぁ〜相変わらず人が多い！」
「Aこっち！早く着替えるよ！」
コミケでのコスプレ経験があるマコに連れられて、会場近くにある体育館のような建物にやってきた。
中に入ってみると衝立でいくつかの部屋に仕切られていて、その中で皆それぞれの衣装に着替えている。
初めての雰囲気に私はワクワクとドキドキが止まらなかった。
「A、衣装買えた？」
「うん、無事に！ほら！」
「えっまんまじゃん！クオリティ高！」
「でしょー！おかげで金欠だけどね…」
「まぁまぁ、イケブラのヒロインになれるなら痛くも痒くもないでしょ」
「もちろんです！…で、マコは？」
「私？私はねー…これよっ」
マコが紙袋から取り出して見せたのは、明らかに男物の衣装で…
「も、もしかしてそれは…！」
「高機動幻想ＡＲＳの３番パイロット、"ナノ"よ」
「ナッナノくん…！まさかのナノくん…！」
超美系のマコなら絶対なりきれるんだろうなー…
よーぅし…私も気合い入れてヒロインになりきらなければ…！
＊＊＊＊＊
「…A、行ける？」
「おっけー…完璧」
手元の鏡で最終チェックを済ませた私はマコの少し後ろに付いて、会場に向かった。
すると外はたくさんのコスプレイヤー達で賑わっていて。その周りにはカメラを持った男の人たち。
どうやら至る所で撮影会が始まっているようだ。
「すみません、お願いしていいですか？」
１人の男性が、マコに声を掛けた。
「あ、いいですよー」
慣れた返事。
一体どんな感じで撮影が行われるのか見てみようと私はその場から少し離れた。
マコがポーズを取り、男性がパシャパシャとシャッターを切っていく。
すると、引き寄せられるようにして次々とカメラを持った人たちがマコの所に集まってくる。
一気に囲まれてしまった。
(みっ、見えない〜)
マコの撮影現場を見たくて右に行ったり左に行ったりしていると、１人の男性が私に近づいてきた。
「すみません、撮らせてもらってもいいですか？」
ついに私にも、お声が掛ったのだ。
「も、もちろんです！」
自分のコスプレ姿を撮られるなんて少し恥ずかしい…とは思いながらも、声を掛けられた喜びの方が大きくて。
気が付けば、私もたくさんのカメラの前でポーズを決めていた。
好きなキャラクターの衣装を纏って、それを写真に収めてくれる人がいる…夢のような時間だった
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作者名：ミト
| 作成日時：2017年8月10日 18時
